(7号食四日目からの続き)
以上、四日間に渡る7号食の実践記録を、リアルタイムで書いたそのままに掲載した。
当初、三日続けることを目標としていたところを、なんとなくもう一日いけそうだったので四日に延ばしたが、そこで気力が途切れ、7号食実践は四日目で終了と相成った。
真の断食
しかし四日といえども、私には相当長く感じた。マクロビオティックには様々な「制限」と思えるような決まりごとがあるが、この7号食ほど制限のかかったものは他にないだろう。何せ、基本的に「玄米ご飯しか食べてはいけない」のだから。7号食を一度体験すれば、マクロビオティックの他の制限など制限とも感じなくなる。
7号食は、桜沢氏の言うところの、「真の断食」だ。
『真の断食とは、食べ物や飲み物をまったく断ってしまうことではありません。むしろ逆に、命を支えるのに絶対に必要なものに、きびしく徹底的に執着することをいうのです。』(*1)
始める前はこんなに辛いとは思わなかった。白砂糖入りのおやきや大福が煩悩となって大きな渦を巻いて襲いかかり、それを抑えるのが本当に苦しかった。肉体に宿る欲望というのはかくも大きいものかと初めて知った。いつもはそれに簡単に負けてきたのだ。
だが私は勝った。体が「大福食べたい」と精神に訴えてきても、「黙れ! 7号食をやっている最中なんだ。三日は続けると決めたんだ。ここでやめたら何の経験にもならない!!」と、欲望の「陽」を打ち据えた。
最終日の四日目には、精神の「陰」が完全に優位を占めているのを感じた。余分なものを食べたいという思いはなりを潜め、心は静かだった。
玄米を中心にするという意識
意識には大きな変革が起こっていた。「玄米」を食事の中心に据えるという感覚を、体で理解できた。一日に何㎜グラムのカルシウムを摂らなければ、たんぱく質を摂らなければ、健康には生きていけない……という、どこかで聞きかじった知識は必要なくなった。
「玄米を主食とすれば、あとは少量の野菜や海藻を副とするだけで良い」とわかったからだ。健康を維持するのに、何も難しいことはなかったのだ。
7号食は、私の心と体を正しい軸にリセットしてくれた。その、リセットされた地点から始めれば、マクロビオティック実行はより容易になる。
7号食はムチ食
このときの体験以来、私は、7号食を「陰陽のブレを叩き直すためのムチ食」として利用している。
普段、いくら中庸を心がけて暮らしていても、「ちょっとくらいいいよね」という油断が積み重なって大きなブレとなり、化学調味料入りの菓子やファーストフードなどが食べたくて仕方なくなるときがある。実際に食べて、少しだけのつもりが止まらなくなって困ることもある。
そんなときに一日だけ7号食を実行するのだ。7号食は欲望にとってかなりのムチなので、一気にシュンとおとなしくなってくれる。マクロビオティック実践において対面する「欲望との闘い」に、7号食は大いに加勢してくれる。
使いどころに注意
かように便利な7号食ではあるが、使いどころを誤ると危険だとも感じている。7号食実践中、パワーが出ず、体がふらふらした。痛みはないし、精神も明晰で調子は良いのだが、活動的な日常生活を送るには少し厳しい。
7号食をやるなら、あまり動かないですむ休日などを選ぶか、6号食(穀物90%、野菜の煮付け10%)(*2)程度に内容を膨らませて実行した方が良いように思う。
また、7号食は、陰陽の大きな崩れを治すための療養食であるから、中庸に戻った(健康になった)のにいつまでも続けるのはかえって良くないと感じる。
私は四日が限度だったが、「そろそろ精神が穏やかになった」と思ったら7号食実践を切り上げ、野菜炒めや煮物のある食卓に戻す方が良いと思う。
ただ、それだけ力のある7号食であるから、マクロビオティックに興味を持った方には一日だけでもぜひ体験していただきたいと思う。
私は、四日間の7号食実践で、それまでは好きでたまに食べていた白砂糖入りの大福やおやきに一切食指が動かなくなった。食べたいなら無理せず食べようと思っているのに、まったく食べたくない。もう11ヶ月もその状態を維持している。
7号食はやっぱりすごいのだ。