マクロビオティックとは? その5「人間の陰陽による食物の選び方」
陰には陽、陽には陰
前項『人間の陰陽判断』で、さまざまな条件の違いによって生じる人間の陰陽を説明しました。
今度は、人間の陰陽に合わせて食物の陰陽を調整していく方法を見ていきましょう。
基本的に、
・陰性寄りの人間は、中庸の食品群の中からやや陽性な食物(ゴボウ、カボチャ、にんじんなど)を多く選んで、味つけを濃いめにするなどしてバランスを取ります。
・陽性寄りの人間は、中庸の食品群の中からやや陰性の食物(大根の葉、小松菜、白菜など)を多く選んで、味つけを薄めにするなどしてバランスを取ります。
陰性寄りの状態のとき
ではまず、人間が陰性寄りの状態のときを考えてみましょう。
人間が陰性寄りであるときの条件で考えられるのは、
・女性である
・寒い季節である
・運動不足
・脂肪が多い(太っている)
・砂糖、果物、芋類、乳製品、アルコールなど、陰性の強い食品を多く摂っている
などがあります。
体の症状としては、
・だるい
・めまいがする
・冷え性
・低血圧
・低体温
などがあります。
食物は陽性に
この状態を中和するために、食物は陽性ぎみにととのえます。 主食は玄米が良いです。黒米や小豆を混ぜて炊くとなお良いでしょう。もち米も陽性度が高いので、赤飯を食べるのも良いですね。
野菜は根菜類(ゴボウ、ニンジン、大根)やカボチャ、玉ネギなど陽性の強いものを多めに摂ります。長時間煮込んだり、濃いめに味つけるとさらに陽性化します。
調味料は、味噌が最も良いでしょう。味噌煮込みなどは体がとてもほかほか温まることを、皆さんも感じたことがあるのではないでしょうか。
体を冷やすような、砂糖、果物(特に熱帯性。バナナ、マンゴー、パパイヤなど)、乳製品、アルコール、スパイス、コーヒー、薬物、添加物、化学調味料は極力避けましょう。水分の摂り過ぎも良くありません。
運動をすることでも体は陽性になるので、食物だけでなく、体を動かすことでも陰陽のバランスをととのえるようにしましょう。
陽性寄りの状態のとき
次に、人間が陽性寄りの状態のときを考えてみましょう。
人間が陽性寄りであるときの条件で考えられるのは、
・男性である
・暑い季節である
・過労
・筋肉質
・食べ過ぎ
・肉、魚、精製塩、チーズなど、陽性の強い食品を多く摂っている。
などがあります。
体の症状としては、
・肝臓障害
・皮膚が赤黒い
・体が火照る
・イライラする
などがあります。
食物は陰性に
この状態を中和するために、食物は陰性ぎみにととのえます。
主食は玄米を中心に、たまにうどんやパスタなど麺類(なるべく全粒穀物使用のもの)を食べるのも良いでしょう。
野菜は、葉菜類(大根の葉、小松菜、白菜)など、陽性を中和してくれるような堅い緑の野菜を多めに摂ります。やや薄目の味つけにしましょう。汁物は少し多めに摂ると良いかもしれません。
調味料は、長期醸造の自然なものであれば何でも良いのですが、醤油を用いると体がカッカしているときでも食べやすいものができあがります。
食べ過ぎると内臓を疲労させるので、良く噛んで、腹八分目におさめるようにしましょう。また、よく眠り、疲れを取るようにしましょう。
季節を考慮する
健康な人が食品を選ぶ上で、最も考慮すべきなのは季節です。
基本的な体質が陰性ぎみという人でも、夏になると陽性が強まっています。
ですから、暑いときは、「自分は陰性だからあまり陰性のものは摂らないようにしよう」などと思わず、ほてりを冷ましてくれるような食物(スイカ、きゅうりなど。トマトも夏なら良いです)を無理せず食べましょう。
夏なのに、根菜野菜をたっぷり入れた陽性バリバリの汁物(例:『ゴボウ汁』)を食べようとすると、本当に苦しいです。
逆に、基本は陽性の体質でも、冬になれば陰性が強まります。冬で体が冷え切っているのに、「自分は陽性なのだからあまり体を熱くするようなものは食べないでおこう」なんて思わなくて良いのです。
外気の寒さ(陰)は、十分に人間を陰性にします。ですから冬は、陽性体質の人も、温まる陽性野菜(カボチャや大根)を入れた熱々の汁物などでバランスを保ってください。
自分が食べたいと欲するものが最大のヒントです。極陰、極陽に偏らない中庸の食品群から、旬の食物を、自由に選んで食べてみましょう。そうしていくうちに、自分の体の陰陽バランスや、何を食べるとどうなるかということがわかってきて、よりマクロビオティックが面白くなります。
次項:陰陽判断総合クイズ
ここまで、マクロビオティック実践の要となる陰陽判断について学んできました。次の項目(マクロビオティック陰陽理解度をチェック! 陰陽判断総合クイズ(全5問))で、今までの知識を総動員して、理解度を確認してみてください!
(クイズを飛ばして次を学びたい方は「マクロビオティック基本ルール12項目~マクロビオティックとは? その6」に進んでください。)