栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?
初めてでも安心のマクロビオティック献立「おにぎり・ごぼう汁定食」
マクロビオティックを始めたいけれど、植物性のものだけで栄養が足りるのか心配。理論を勉強したけれど、自分の判断に自信がない。
そんなあなたに送るスペシャル献立をご紹介します! 名づけて「おにぎり・ごぼう汁定食」(2010.11.27追記:旧名『おにぎり定食』から改めました)。
鉄火味噌玄米おにぎりとごぼう汁(具を油炒めした味噌汁)にたくあん(漬物)と納豆。これを一日二食で良いのです。
栄養所要量を満たす
このおにぎり・ごぼう汁定食は、栄養所要量(六次改訂)をほぼ完全に満たす上に、ビタミンや無機質は大幅に目安の数値を上回っています。PFCバランス(たんぱく質・脂質・炭水化物のエネルギーバランス)は何と100%!
一日に20~25グラム摂るのが理想的(*1)とされる「食物繊維」は45グラムも摂れ、低コレステロール、低脂質です。
この献立なら、栄養学的にも裏付けが取れていますし、マクロビオティック的にも陰陽のバランスが良く、安心して取り入れていただけると思います。植物だけでも十分に栄養は取れ、健康に生きていけるということを実感していただければ幸いです。
飽きない
とても美味しいので、毎日食べても飽きません。実際私は、このおにぎり・ごぼう汁定食(納豆はつけないときも多かったですが)のみで半年過ごしました。
体に良さそうだからという理由ではなく、美味しくて、毎日食べたくて続けていたという感じです。体調も本当に良くなりますよ! 食後の満足感が違います。
なお、栄養所要量を求めたときの個人属性は「女性・28歳・生活活動強度Ⅱ(二時間程度の歩行や乗車。立位での業務が比較的多いが、大部分は座位。現在の日本人の大部分が該当する)」です。
性別や年齢、活動強度に応じて、献立の量を調整していただければと思います。
「おにぎり・ごぼう汁定食」全材料
「おにぎり・ごぼう汁定食」の鉄火味噌玄米おにぎりは、一つあたり「玄米ご飯225g」に「海苔1枚」、具として「梅干し半分(7.5g)」、「ゴマ小さじ3」でできています。
ゴボウ汁は、以下の材料からできています。
一日二食分すべての材料とグラム数を表にすると以下の通りになります。
材料名 | グラム数 |
---|---|
玄米ご飯 | 450 |
海苔(2枚) | 4 |
梅干し(1~2個) | 15 |
ゴマ(小さじ6) | 18 |
カボチャ | 100 |
にんじん | 50 |
ごぼう | 100 |
玉ねぎ | 200 |
小松菜 | 100 |
油揚げ | 24 |
ぶなしめじ(1パック) | 100 |
しょうが(親指大) | 15 |
昆布 | 20 |
干し椎茸(2枚) | 8 |
油 | 5 |
米みそ | 10 |
納豆(2パック) | 80 |
おにぎり・ごぼう汁定食の成分値
おにぎり・ごぼう汁定食一日二食分の成分値と栄養所要量は以下の通りになります。レチノールとはビタミンAのことです。
成分名 | おにぎり・ごぼう汁定食成分値 | 栄養所要量(六次改訂) |
---|---|---|
エネルギー(kcal) | 1474.06 | 1800.00 |
たんぱく質(g) | 50.38 | 55.00 |
脂質(g) | 37.13 | 50.00 |
炭水化物(g) | 256.79 | - |
カルシウム(mg) | 880.85 | 600.00 |
鉄(mg) | 15.21 | 12.00 |
レチノール(μg) | 1614.7 | 540.00 |
B1(mg) | 1.66 | 1.00 |
B2(mg) | 1.32 | 1.00 |
C(mg) | 100.30 | 100.00 |
D(μg) | 3.36 | 3.00 |
食塩相当量(g) | 6.20 | 10.00 |
食物繊維(g) | 45.18 | - |
コレステロール(mg) | 2.98 | - |
栄養所要量と比較したときのグラフ
おにぎり・ごぼう汁定食一日二食分の成分値を栄養所要量と比較したときのレーダーチャートは以下の通りになります。青い円が栄養所要量、赤い線が「おにぎり・ごぼう汁定食」の成分値です。たんぱく質は100%には満たないものの91.6%まで到達しているので、必要量としては十分です。
レーダーチャートを棒グラフにしたものがこちらです。↓
PFCバランスは100%!
PFCバランスとは「たんぱく質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)」の、食事総カロリーにおける比率のことで、「たんぱく質=12~13%」「脂質=20~30%」「炭水化物=57~68%」が一番理想的だとされています。(*2)
「おにぎり・ごぼう汁定食」は、このPFCバランスがすべて100%という、奇跡的なバランスの良さを持った食事です。青い円が100%、赤い線がおにぎり・ごぼう汁定食の各数値です。見事な正三角形になっています。
メニューのバリエーション
「おにぎり・ごぼう汁定食」はとても味わい深く、飽きもきませんが、「真冬のスキー場で、昼ご飯にロッジでふるまわれた熱々の豚汁とおにぎりが美味しかった」という記憶から編み出されたメニューであるだけに(*3)、陽性度が高く、寒い季節向きの献立です。
特にゴボウ汁は暑い季節には食べるのが苦しくなってきますので、そうなった場合はキャベツを入れたりきのこ類を増やしたり、醤油じたてにするとあっさりして食べやすくなります。(参考レシピ:「和風ポトフ」)
また、材料さえ同じであれば栄養価は変わらないので、ゴボウ汁の材料の一部で汁物を作り、余った野菜を炒め物にして品数を増やしたりしても良いですね。
栄養価的にポイントとなる食材は?
マクロビオティック料理を栄養計算したとき、やや不足のきらいが出てくるのが「たんぱく質」や「ビタミンD」だと思いますので、ここを意識した食材を組み込みます。
具体的に言うと、たんぱく質は「納豆」。その他大豆製品でも良いです。一日に80グラム(2パック)ほど摂ると、栄養価的には理想的です。野菜の中ではゴボウや玉ねぎにたんぱく質が多く含まれます。
ビタミンDは「干し椎茸」。特に「天日干し」の干し椎茸にはビタミンDが多いです。他、しめじなどきのこ類にビタミンDは多いので、積極的に食べてください。
他、カルシウムは、「小松菜」や「昆布」(海藻類)に多いので、両方またはどちらかは必ず食事に組み込みたいところです。
また、これだけシンプルなメニュー構成で済んでいるのは玄米のビタミンB1パワーあってのことなので、主食は玄米が良いですよ。
ビタミンB12
栄養所要量のグラフに「ビタミンB12」は出てきていませんが、ビタミンB12にも赤血球を成形したり悪性貧血を防いだりするなどの重要な作用があります。
このビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれず、動物性食品を基本的に避けるマクロビオティックにおいては、気をつけないと不足してしまいます。
ですが、「おにぎり・ごぼう汁定食」なら大丈夫! 植物性食品の中でダントツのビタミンB12量を誇る「焼き海苔」が組み込まれているからです!
一日に二つのおにぎり(二枚の焼き海苔)で、ビタミンB12は約2.3μg摂取でき、18歳以上の推奨所要量である2.4μgをほぼクリアします。(*4)
一日におにぎりを一つしか食べない場合は、海苔を二枚巻きにすると良いかもしれません。
生活状況に応じて臨機応変に
今回ご紹介した「おにぎり・ごぼう汁定食」は一日二食という設定ですが、労働量の多いかたであれば三食に増やしたり、逆にほとんど動かない方であれば一食にしたり、自由に調整なさってください。
また、内容も、おにぎりの量を増やしたり、味噌汁の具を変えたり、納豆を抜いたり、体調に合わせて変更してください。
それによって、栄養所要量に対して数値の多寡が出てくるかもしれませんが、栄養所要量というものはあくまでも「目安」であり、一番の基準にすべきものは各人の体調や「調子がいいな」という感覚であると思います。
「個々人に対する食事摂取基準の活用にあたっては、その個人の健康・栄養状態、生活状況等を十分に考慮することが適当である」(*5)と定義づけられているものでもありますので、あまり固く考えすぎないようにしてください。
あくまでも、マクロビオティックありきです。それを補強するための栄養学です。
この「おにぎり・ごぼう汁定食」をモデルケースとして、そこから自分なりのマクロビオティックを展開なさっていってください。
新メニュー・納豆ご飯・ごぼう汁定食
「おにぎり・ごぼう汁定食」に新たなバリエーションが誕生しました! その名も「納豆ご飯・ごぼう汁定食」。「おにぎり・ごぼう汁定食」と使う材料はほぼ同じながらも、新たな味わいを展開します。
ぜひ、チェックしてみてください!
追記:オリジナル健康法「玄米・ごぼう汁基本食健康法」
上記、二つの定食を「一日一回の基本食」とした、オリジナル健康法を確立しました。基本食以外は何を食べても自由なのでストレスなく実践でき、健康への効果も高いです。ぜひチェックしてみてください!→『玄米・ごぼう汁基本食健康法』
おすすめ有機玄米紹介
↑ここ10年ほど、こちらのお店(京の米職人)から有機玄米を真空パックで購入しています。梱包に清潔感があり、購入時に分つき米も選べるのが良いです。
*2 「開隆堂ビジュアル栄養計算」より
*3 マクロビオティックコラム「マクロビオティック優秀献立おにぎり・ごぼう汁定食誕生秘話」
*4 大修館書店「食品成分表」p.115、「第6次改定日本人の栄養所要量について」
*5 『第七次改定日本人の栄養所要量』をよりよくするためのアンケート調査 )