正直、美味しくないのでは?

極めているものは好みが分かれるかもしれませんが、通常は普通の料理と変わりなく美味しいです。

美味しくなさそう??

美味しくなさそう?

マクロビオティック料理に対して、美味しくなさそうだな」という思いがはたらき、作ったり食べたりすることに二の足を踏んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

その思いはどこから来るでしょうか? 

もしかしたら、マクロビオティック料理と聞いて思い浮かぶものが「醤油だけで味つけしたきんぴら」とか、「かぼちゃと小豆を塩ゆでしただけのもの」とかだったりしませんか?

寿司飯を作るときご飯に混ぜるのが梅酢だけだったり(砂糖を避け、より陽性にするため。→陰陽の考え方)、クッキーを作ると言っても材料が「地粉、そば粉、ゴマ油、塩」だけだったり。

(参考レシピ:『リマクッキング』より 「太のり巻き」、「サラセン・クッキー」:p.120、121)

そこまですることないだろう? そこまでしなくてはいけないの? と思うようなメニューを想像なさっているのではないでしょうか。

マクロビオティック料理の幅

確かに上記のようなメニューはマクロビオティック料理の一形態ではあります。

しかし、 かなりストイックな、究極の、高度な部類です。味についても好みが分かれるところかもしれません。

マクロビオティック料理には幅があります。そこまで極めなくても大丈夫です。

たとえば肉を抜いたカレーライス。そんな感じで良いのです。

米を玄米に、白砂糖を使っていたところを粗糖に替える。これだけでも立派です。

それなら、普段作っていた料理とそう変わらずに「マクロビオティック料理」を作って食べられると思いませんか?

特別なものでもない

また、「マクロビオティック料理」というと上記のような特別なメニューが思い浮かぶかもしれませんが、実はもっと単純な、誰もが食べているようなものも立派にマクロビオティック料理だったりします。

たとえば味噌汁。具に国産の旬野菜を用いれば、「輸入食品、動物性食品、白砂糖、添加物の入ったものを使わない」といったマクロビオティックの基本ルールをクリアした、高度な一品になります(有機栽培原料使用の味噌を使えばなお良いです)。

梅干しのおにぎりなんていうのもマクロビオティックですね。

そもそもマクロビオティックは日本で発祥したもので、日本の伝統食(厳密には禅宗の精進料理)をベースにしています。ですから本当は誰にとっても身近なものなのです。

マクロビオティック料理レシピ本を見ると…

肉無しカレー

「でも、マクロビオティック料理のレシピ本を見ると、なんだかとても普通ではないことをしているようで、身近には感じないのだけれど……」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

私もそのへんは考えたことがあります。

それで思ったのは、「肉なしカレーライスのようなものをマクロビオティック料理のレシピとして載せたら、レシピ本として売れないのだろう」ということです。

本当は、いつも食べているものから動物性食品を抜いたり、調味料や食材を国産・有機栽培・無添加の安全なものに替えるだけで、「マクロビオティック料理」として成立するものがたくさんあります。

けれどそれをレシピ本に載せても、 「肉なしカレーライスぅぅ? なんだそれは、ただカレーから肉を抜いただけなんて、何のレシピ紹介にもなっていない~!」と思われるのがオチなのではないでしょうか。

肉なし野菜炒めとか。肉なし麻婆豆腐とか。

天ぷらそばなんてマクロビオティック的だと思うけれど、レシピに載せたら「そんなものはわざわざマクロビオティック料理レシピとして紹介せんでもいい~!」ということになりそうだし。

そうなると、必然的に、マクロビオティック料理として本に載るようなレシピは、身近ではない、高度な、見慣れていないとあまり美味しそうと思えないものになってしまうのだと思います。

自分で考え、美味しいマクロビオティック料理を!

マクロビオティックの基本ルールを頭に入れておけば、レシピに頼らずとも、自分で「この料理はどうしたらマクロビオティック的になるだろうか?」と考え、実行できるようになります。

美味しくなさそうだな~と思うものにわざわざ挑戦せず、いつも美味しく食べている料理をマクロビオティック的に工夫してみることを考えてみてください。

そうすれば、「マクロビオティック料理って美味しい!」と体で納得できるようになると思います。

補足:極めているものの味はどうなのか?

マクロビオティック料理と言っても幅があり、「味つけは醤油だけ」なんてストイックさを持たなくても良いし、それなら十分に美味しく食べられると、ここまで話してきました。

では、その、「好みが分かれる」かもしれない、「究極の、高度な部類」に入るマクロビオティック料理は、果たして美味しいのか?

なぜ筆者はその領域に踏み込んで話そうとしないのか? 何かを隠しているのか? 実はとんでもなく美味しくないとか……。

いえ、そんなことはありません。実は、私自身、ストイックなマクロビオティック料理を勇気がないためにあまり作れないでいて、語れるほどの経験を最近(08年9月)まで積んでいなかったのです。マクロビオティックに好感を持って向かい合っている私でさえ、さすがに煮物を醤油だけで作ったりするのには抵抗がありました。

しかしその状況も変わりつつあります。恐る恐るながら、シンプルな調味料だけでの味つけに挑戦して、次々と「あら、意外と美味しい」という成功を積み重ねています。

案外美味しい

極めたマクロビオティック料理。結論から言うと、十分に美味しいです。

たとえば醤油だけで味つけをする代表格の「きんぴらごぼう」、「ひじきの煮物」。

きんぴらはまだしもひじきの煮物で醤油だけというのはありえないだろうと思っていました。

ですが、醤油だけのきんぴらが存外の美味しさで、「これだったらひじきもいけるかもしれない……」との思いで思い切ってひじきを醤油だけで煮付けてみたら、意外や意外、しっかりコクもあるし、野菜から甘みも出て、ちゃんと美味しかったのです。醤油だけの味とは思えません。

確かに、酒やみりん、粗糖を入れた煮物にもそれなりの美味しさはあります。ですが、そんな味に慣れた口にも、醤油だけの煮物は美味しく感じられました。

時間と手間がかかる

しかし、そのような高度なマクロビオティック料理は、簡単には作れません。実際に調理して感じましたが、本気のマクロビオティック料理には時間と手間がかかります。

ごま油でじっくり炒めたり、長い間煮込んだり。そのような過程を経ることで、コクや旨味が素材から引き出されて美味しくなるわけです。

ひじきとこんにゃくの炒め煮」を作っていたとき、コンニャクを炒めるのに30分以上かかって、「いや~コンニャクだけで何分かかってるんだ? マクロビオティックってインスタントの対極にあるなあ」と苦笑まじりで思いました。

ですから、「ストイックなマクロビオティック料理は美味しいけれど、美味しく作るためには時間も手間もかかる」ということになります。

その、時間や手間のハードル、心理的抵抗感など、さまざまなものを乗り越え、挑戦する気概のある方はぜひ気が向いたらマクロビオティック料理レシピ本に載っているようなものを作っていただきたいなと思います。

当サイトで言えば、「食養療法レシピ抜粋」に掲載してあるようなレシピです。

挑戦するところまでマクロビオティックに慣れた段階の方になら、多分気に入っていただける味だと思います。

ちなみに私は、醤油だけでひじきを煮付ける勇気を得るまで、マクロビオティックを本格的に学び始めてから一年半かかりました……。

次項:ダイエットには

次の項(ダイエットには効果があるのか?)では、マクロビオティック生活と体重減少の関連について説明します。