あなたのやっているのはマクロビオティックではないと言われました
マクロビオティックではない?
マクロビオティックというものがあるのを知り、興味を持って取り組み始めた。それはとても素晴らしいことです。
ずっと外食続きだったけれど自炊の日を増やしてみた。調味料を、無添加で長期醸造のものに変えてみた。玄米を白米に混ぜて炊いてみた。白砂糖ではなく、未精製の粗糖を買ってみた。噛む回数を増やしてみた。
そんな、一見ささいと思える変化も、長い目で見ればとても大きなものです。自身の肉体や精神のあり方に関心を持ち、健康でいるために、もっと健康になるために、意識して行動を始めた。それは、自分の人生をより積極的に生きようとする姿勢に他なりません。
より良い人生を生きたい。あり得るすべての道の中から、一番良い道を選んで進んでゆきたい。そう思えるのは心が健康な証でもあります。
なのに、そんな自分の取り組みを、マクロビオティックをやっている他の誰かから「間違っている。そのやり方はマクロビオティックではない」と言われてしまったら。
マクロビオティックに触れて間もない頃であればなおさら、当惑し、悲しくなってしまいますよね。
人は色々、マクロビオティックも色々
しかし、マクロビオティックを深く学べばわかることですが、マクロビオティックというのは「○○をしなくてはいけない」というものではありません。一切の押しつけも、強制も、戒律もありません。
ただ、「こうすれば直感が研ぎ澄まされて、ベストな道を選ぶ判断力が身につくよ」とアドバイスしてくれているだけなのです。そのアドバイスを聞き入れるかどうかは個人の自由。実行内容も個人の自由なのです。
確かに、「直感力バリバリ」の状態に早く到達できる食べ方というのはあります。それがいわゆる「マクロビオティック」のイメージになっているであろう、「玄米ご飯(主食)、旬の野菜や豆、海藻を味噌、塩、醤油で味つけた副食」からなる食事です。
そこには白砂糖はおろか、肉も、魚も、果物もありません。みりんも粗糖も使われていません。
けれど、それも一つの食事例に過ぎず、誰もが実行しなければいけないものではないし、実行する必要などないものなのです。
直感力を非常に必要としている人や、早く健康を回復したい人が、自分のためにそのような食事形態を選ぶことはあるでしょう。だからといって、それに引きずられることはないのです。
百人いれば百人の体があり、心があります。
住んでいる場所も、生活状況も、皆違います。
マクロビオティックを取り入れる方法や速度も違って当然です。
ですから、マクロビオティックというのは、そのやり方について、誰かが誰かを批判できるものではありません。人の生き方に他人が口出しできないのと同じです。
なぜ批判してくる人がいるのか?
ではなぜ、「あなたのやり方は違う」などと言ってくる人がいるのか? それは、「傲慢」という病にかかっているからです。
マクロビオティックを学び、好きになった人なら誰でも、「この食事の方法は素晴らしい! 私はこんなことを知れて幸せだ!」と一種の興奮状態に陥ると思います。
それが一歩間違うと、「あの人はあんな良くないものを食べている。あれでは健康になれないよ。私のように節制して食べれば良いのに」と、他人の食べ方を蔑む気持ちになってしまいます。
また、マクロビオティックという素敵なものを独占したいあまりに、「軽々しくマクロビオティックをやっているなんて言わないで!」と、マクロビオティックに少し触れて楽しそうにしている人に対して嫉妬をたぎらせる場合もあると思います。
そういう人はマクロビオティックが大好きなのです。恋をしているのです。マクロビオティックを理解してあげられるのは自分しかいないんだと思っているのです。それが過ぎて、「傲慢」という病にかかってしまっているのです。
我が道をゆく。勉強も必要。
「傲慢」という病は本人にしか治せません。本人の問題なのです。
ですから、それをぶつけられた人ができるのは、立ち去ることだけ。気分は良くないでしょうが、そんなことでせっかくのマクロビオティックを学ぶ機会を逸してはもったいないです。外野の声がうるさいと思うなら、ひっそりと、自分だけの楽しみとしてマクロビオティックを追究してみてください。
また、「それはマクロビオティックではない!」と言われたときに動揺してしまうのは、マクロビオティックを学び足りないせいもあると思います。
桜沢如一氏の本を読むなどしてみれば、自分なりのマクロビオティックに対する考え方というのが確立できますし、何か言われても毅然と対応できるようにもなるでしょう。
まずは、何か言われても気にしないこと。マクロビオティックをやってみたいと思って始めたならばマクロビオティックと言えるのだと自信を持つこと。そしてできれば、たとえ批判されても動じないくらいの知識を身につけ、実践を積んでいってください。
次項:時間がない
次項『物理的にマクロビオティックを実践する時間がありません』では、マクロビオティック実践に時間を割けない方でもできるマクロビオティックの形を考えてみます。