2008年7月。マクロビオティック開始から一年三ヶ月。
左下の親知らず抜歯から四ヶ月経ち、歯ぐきもほぼ元通りになってきた。
食べられるものの幅が広がったのが嬉しくて、私は、好物だけれど滅多に買わないアサリを買って味噌汁を作り、残った汁をおじやにしたりして楽しんでいた。
↑味噌おじや(アサリの味噌汁で余った汁使用)(2008.7.18)
四ヶ月も流動食で歯ぐきを養生して暮らしてきたから、噛めることが新鮮で仕方ない。この頃、私は週に2~4袋はスナック菓子を食べていた。
バリバリ噛めるのが嬉しくて、体にあまり良くないことなど二の次になってしまったのだ。
それでも一応原材料表示を見て、なるべく添加物の少ないものを選ぼうとは心がけていた。
マクロビオティックを始めて、一番スナック菓子を食べていた時期だと思う。
この暴走はスナック菓子だけにとどまらなかった。夏で暑いのをいいことに、毎日氷入りのぶどうジュース、みかんジュースを300cc以上飲んだ。
国産100%果汁であったこと、飲んでもそう体調がおかしくなるように感じられなかったことで気持ちがゆるんだ。
胃が水分でガボガボになっているのに、それでも甘くて美味しいので止まらず、一週間は飲み続けただろうか。
スナック菓子にジュース。このダブルパンチのせいだろう。ある日、急に胃の調子が悪くなり、玄米粥さえ食べられなくなってしまった。
アレルゲンを摂ってもいないのに膝の裏に湿疹まで出始めていた。
あまり体に良くないだろうなとわかっていながら飲み食いしていたから、来るべき時が来てしまったという感じ。
またやってしまった……。痛む胃に苦しみながら、私は反省した。こういう、暴走した後の肉体不調が、いつも私をガツンと正してくれる。
そう考えると、痛くなることで不調を訴えてくれる体というのはありがたいものだ。
胃が食べ物を受け付けないので一日半ほど絶食し、だいぶ調子を取り戻せたのだった。
マクロビオティック関連の書籍は、『病気を治す術、病人を治す法』まで読み進めていた。ちょうど9冊目。
桜沢如一氏の奥さんである里真さんが歯医者に通っていたという記述を見て親近感を抱き、喜んだりもしていた。
桜沢如一氏の著作にはどれにも新しい要素が入っており、読めば読むほど知識が増えていく。絶版になっているものも多く残念だったが、とにかく現在手に入るものはすべて読破しようと意気込んでいた。
そして7月24日。左下の歯ぐきがほぼ完全に治ったのを見届けて、私は、今度は右下の親知らずを抜歯したのだった。
左を抜いたときと同じように、発熱し、寝込むことになった。
痛みがひどく、何錠も痛み止めを飲んだ。
夏のさなか、水を入れて凍らせたペットボトルを枕元にはべらせながら、三日間はベッドに寝たきりになっていた。
やがて熱が下がり、体力もだいぶ戻ってきた頃。抜歯前に買い溜めてあったスナック菓子の存在を、私はベッドの中で思い出していた。
我慢しきれず、夜も11時を過ぎていたのに一階に駆け降り、食品庫にしまってあったそのスナック菓子を一袋半むさぼり食べた。
あんなに無我夢中にスナック菓子を食べたことはなかった。美味しくて、美味しくて、胸焼けがするまで食べた。
「いつまでもスナック菓子がやめられないなあ~」と思っていたのだが、意外なことに、それがスナック菓子との別れとなった。我慢しているわけではないのに、スーパーで見かけても買う気が起こらなくなったのだ。
あんなに好きで、カップ麺や白砂糖から離れられてもずっと食べ続けていたスナック菓子。
病み上がりで胸焼けするほど食べて、すっかり満足してしまったのだろうか?
とにもかくにもマクロビオティックを始めて一年三ヶ月目、ついにスナック菓子からも足を洗うことができたのだった!
(その後、一度もスナック菓子を口にすることなく一年近く経過。詳しくは『スナック菓子を前にして思うこと』参照)
(「失敗からおにぎり、活力鍋で玄米~マクロビオティック実践記13」に続く)