マクロビオティックコラム

7号食実践記~1日目:玄米との対峙

シェアする

7号食1日目
2007年10月29日
玄米ご飯:茶碗大盛り1杯
梅干し2個
黒すりごま
水180cc
ご飯と一緒に炊いた昆布1/2枚(有機生醤油かけ)

7号食1日目

ご飯をよそっているときに「今日はこれだけなのか」と思ったら急にご飯に対してすがるような気持ちになった。

「頼むよ玄米くん。君だけで命をつなぐんだ。信じてるよ」

ここまで食べ物に対して祈るような気持ちになったことはない。7号食は玄米に対して多大なる信頼感がないとできないと思った。玄米を信じ切れない人には7号食は無理だろう。

ゴマをふりかけ、食べ始める。いつもは30~40回の咀嚼だが、100回噛んだ。100回噛んでも、口の中で味がする。梅干しの塩気や香りもまだ感じる。どこまで噛んでも味わい深いあたり、すごいなあと思う。

玄米や、玄米を作ってくれた人、梅干しを作ってくれた人、すべてに対して「頼みます」という気持ちになった。その食品に力があるとの大前提、信頼があるから、ここまで食品を絞って食べているのだ。有機栽培と信じている。ちゃんと作ってくれていると信じている。私の命はこの食べ物たちにかかっている。

いつもだって食べ物は食べているのに、どうして今回だけこんなに泣きたいような気持ちになるんだろう。なんていうのか……頼れるものがとても少ないとき、すごく怖くなるというのかなあ。

たとえば橋を渡るとして、そのとき命綱と手すりもあればなんとなく「橋」そのものに対する「頼むよ」って気持ちは減るけれど、命綱も手すりもない橋を渡らなければいけないときは「橋」に対してすごく思いが行くというか、そんな感じ。

いつもは命綱や手すりのある橋を渡っていたんだなあ。橋が折れても大丈夫って思っていたんだなあ心のどこかで。でも今回は橋(玄米)が折れると私、死んでしまうんだよなあ。

この切実さ。食べ物が対等に思えた。いつもは私の方が偉そうにしていたかも。君なんていなくても平気なんだ、みたいな……。でも今は違う。「へへーっ」てひれ伏したい。玄米に。

30分かけて食べ終えた(4:30)。胃はいつもの食後の1/2程度しか膨れていない。けれど満腹感はいつも通りある。一日の食事がこれだけだとカロリーが少なすぎるんじゃないかと思ったけれど、まあ、お腹が空けば食べるとして。とりあえず終了。

(玄米オンリーのご飯は、やっぱり少し独特の匂いがする。ゴマをかけることで緩和されるから、ゴマは必須だと思った。匂い消しの意味では梅干しもかなり効果あり。ゴマ、梅干しって、玄米のお供として有名なお二方だけど、うまく匂いを消すようにもはたらいてるんだなあと今回初めて気づいた。)

追記:マクロビオティックには通常「制限」なんてものはない。宇宙の原理に照らして自分で判断して食べればそれで良いから。

でも7号食には制限がある。「食べちゃダメ!」ってものが明確にある。ここまで制限のある食生活をするのは、幼少期に厳格なアレルゲン断ちをしていたとき以来か。「あ~おやき食べたいな、あやめだんご食べたいな」なんて煩悩が顔を出す。それを律するのは修行の域。苦行、荒行。何やってんだ自分。

まあ普段あまりにも食べたいものを食べ過ぎていたということなのだろう。これを機に精神の贅肉を落とせたらなと思う。

追記:2 現在、23:35。食べ終えてから7時間経って、ようやく消化が進んできた感じがする。玄米100%は本当に腹持ちがいい。

さっきから妄想が頭をかけめぐる。大福食べたいとか、おやき食べたい(これはさっきも言ってたな)とか。今までは、こういう欲望にすぐ負けて、何でも食べてきたのだ。ああ~7号食を厳格に守るって、精神的にけっこう大変なんだな。慣れることを願う。


*1,*2,*3桜沢如一著『ゼン・マクロビオティック』(p.68,p.130,p.261)
運営者紹介

マクロビオティック羅針盤」運営者の遠藤です。

当サイトでは、マクロビオティックを初歩からQ&A形式で解説しています

マクロビオティック的に最もお勧めしたい献立「おにぎり・ごぼう汁定食」について「栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?」で解説しています。

他に、メインブログとして「健康探究ブログ」を運営していますのでよろしければ遊びにいらしてください。

北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

サイト説明詳細・運営者プロフィールはこちら

関連記事

「スーパー活力なべ(圧力鍋)で玄米炊き」失敗談~水加減多過ぎでおかゆ状、火の弱め忘れで焦げ

スーパー活力なべで玄米を炊いたときの二つの失敗談を写真つきで掲載しています。一つ目は、水加減の多すぎ。二つ目は、10分加圧のところを、仕事に集中しすぎて火を止め忘れたため一時間も加圧。さて一体どうなったか……。

電子レンジ回避で玄米ご飯を腐らせた

電子レンジの使用を避けようとして玄米ご飯を常温で保存した結果、腐らせて、食べられなくなってしまいました。そんな経験から得た教訓を書いています。

7号食実践記~序章:挑戦への決意

7号食。マクロビオティックの中でも最善とされる食事。内容は「全粒の穀物100%」とされるが、ごま塩、梅干し、たくあん程度ならつけても構わない。水分は2合(360cc)以内。一口百回以上、よく噛んで食べる。……これに三日間挑戦してみようと、マクロビオティック開始半年後の私は決意したのでした。

7号食実践記~2日目:現代日本の仙人

7号食実践、二日目の記録です。すでに7号食の辛さに打ちのめされている二日目、徐々に悟りの境地を切り開きます。

7号食実践記~3日目:7号食への順応

7号食実践、三日目の記録です。「昨夜の寝る前あたりは体に力が入らず、へろへろダルダルになっていた。推測するに、おそらくパワー不足。一日にご飯300gだけなんて確かに少ない。もう少し食べる量を増やした方がいいかなと思ったりする。」…7号食に慣れ始め、冷静に考察できるようになってきました。

7号食実践記~4日目:心身の変化

7号食実践、四日目の記録です。玄米が主でオカズが従であるという状態に十分慣れました。さて、心身にはどんな変化が?

7号食実践記~終章:7号食との付き合い方

7号食実践の総まとめ。7号食は、間食を食べたい欲求を静めるのに効果がありました。ただ、ふらふらになるので、実践するなら休日が良いです。

一食分の玄米の量(グラム数)

一食分につき、玄米ご飯をどのくらい食べますか? マクロビオティックでは、主食の推奨量(重さで全体の約半量(50%)、かさで1/3(33%))が決められています。

外食前の玄米おにぎりで最低限の栄養確保

外食の前に玄米おにぎりを食べると、体調が崩れにくくなります。腹ぺこではなくなるため食べ過ぎず済んで、経済的にも良いです。

7号食はマクロビオティックの象徴

現代のマクロビオティックにおいて、7号食は古めかしく、栄養不足の危険すら心配されるものになっています。ですが、7号食にはマクロビオティックの象徴とも言えるくらいの価値があると思うのです。

ランダム記事

人のためになることって何?

人の役に立つとはどういうことか? 大仰なことはできなくても、人の気持ちを励ましたり、勇気づけたり、楽しませたり、ちょっとでも明るくさせたりできれば、十分に人の役に立てていると数年かけて気づいた。

初めての「手作り納豆巻き」体験記

値段を気にせず納豆巻きを食べたくて、ついに手作りしてしまいました! 寿司酢も酢と粗糖と塩で手作り。レシピ掲載。

健康な人が実践するマクロビオティックの限界

マクロビオティックの食事法は、病気の人にこそ効果を発揮する。健康な人の体調ももちろん上向くが、健康というのには限度がある。

除去食ベースのマクロビオティック料理

肉、卵、牛乳除去。これだけでもマクロビオティックとしてかなり十分だと思えるのです。

失敗を繰り返して強くなる

マクロビオティックを実践していれば失敗はつきものですが、それは向上への大きな足がかりとなります。

マクロビオティックコラムカテゴリー別記事一覧
マクロビオティックを考える
マクロビオティックフリートーク
マクロビオティック失敗談・初めての体験記
マクロビオティック実践記
アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ
7号食実践記シリーズ
マクロビオティックからの卒業
マクロビオティック卒業後コラム
心の健康
運営者ブログ新着記事