マクロビオティックコラム

初めての「マイースのハンバーグ」体験記

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私にとっては史上空前の高級マクロビオティックレシピ本、「リマクッキング」。一万円もしたのだ! それだけ大枚はたいて買ったからには、一つでも多くのレシピを実行に移したい!

だが、リマクッキングに掲載のレシピは料亭の懐石のように手の込んだものも多く、基本的に料理に対してそこまで積極的になれない私には敷居が高い。美味しそうだけれど、実際に作るのは大変そうだなあ……。その繰り返しでページをめくっていて、目に留まった料理があった。

その名も「マイース(筆者註:フランス語でトウモロコシの意)のハンバーグ」。玉ねぎとトウモロコシを炒めて塩胡椒で味つけし、地粉をつなぎとして混ぜてフライパンで焼くだけ。

豆腐のハンバーグは作ったことがあるけれど、つなぎに卵を使ったのが気になっていた。

「マイースのハンバーグ」はつなぎに地粉のみを使うという素朴っぷり。純然たる植物性のハンバーグはどんな味がするのだろう?

簡単さと好奇心に押され、私はマイースのハンバーグに挑戦してみることにした。

野菜を多く摂る目的で材料にニンジンも加え、早速作り始める。炒めて、塩胡椒をして……と、そこまでは良かった。

つなぎの地粉を入れる段になり、はたと手が止まる。レシピには量が「適宜」としか書かれていない。

適宜? 適宜って!!

マクロビオティックの料理において曖昧なレシピに苦労した経験は前にもあるが、今回もなかなか手強い。場数を踏んでいる人なら「適宜」という指示でもイメージがわくのだろうが、私の場合、それこそ小さじ1程度なのか、カップ1杯程度なのか、見当もつかない。

ヒントを必死に探すが、手順にも『つなぎとして地粉少々をまぜ、3センチ大にまるめ、手の平でおして平らにする。』と書かれているだけ。炒めた野菜はボロボロで、そのままではとてもハンバーグになりそうもないが、これが「3センチ大」に丸められるほどの粘り気を帯びればいいんだな。推測し、恐る恐る粉を加えていく。最初は大さじ1/2から。

粉を足すたびに混ぜるが、なかなかまとまりが出てこない。まだ足りない? これでもダメ? 大さじ5杯加えたところで、ようやく生地が重たくなってきた。こんなもんかなと手でつかみ、形をととのえてみる。今にも崩れそうで「3センチ大に丸める」なんて芸当はできない。どうしよう。もっと粉を足した方がいいのかな……でも「少々」という記述もあるし、あまり多くない方が良いのでは?

もういいや、え~い! と、私はそのタネを焼いた。できあがったのは、「しっとりした野菜のかき揚げ」のようなもの。野菜炒めの隙間を少しの生地がかろうじてつないでいるような感じで、箸で割るとトウモロコシの粒がポロポロとこぼれた。

味はいいけれど、やはり粉の量が足りなかったか……。翌日、私はリベンジに乗り出した。

粉は大さじ7杯。タネに前回とは違う粘りが出てまとめやすい。フライパンで焼くと、ふんわりと、見た目がよりハンバーグらしくなった。

マイース(とうもろこし)のハンバーグ

ある程度の固さが出たから、大根おろしなんかものせやすくて、食べるときのバリエーションが増えた。母にも好評で、私はこのリベンジバージョンのレシピを「とうもろこしと玉ねぎのハンバーグ」として公開することにした。

いやはや、小麦粉のつなぎだけで作ってしまうのだから、アイディア料理である。香ばしくて、野菜の甘さも生きていて美味しい。なるほど、卵が入っていないからプリッとした感じはないが、厚めのお好み焼きのようで食べやすい。おかずにも主食にもなるし、簡単だから、ちょっとしたおやつにも良さそうだ。

粉の量を試行錯誤した分だけレシピが身についた気がする。私の得意料理として定着させたいものだ。

それにしても。リマクッキングに載っている「マイースのハンバーグ」は、もっと具が少なくて、生地が多いようにも見える。白黒写真だからはっきりとはしないのだが……。

今回私が作ったような感じでいいんですかね? 里真さん。


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北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

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