無双原理で楽しく生きる? その3-すべては移ろいゆく。始めあれば終わりあり。
アベコベの原則
前二項(「ウラ、オモテの原則」、「ツリ合いの原則」)に渡り、陰陽の法則がどのように私たちの人生に関わってくるのか説明してきました。
最後に、その「陰陽」の命そのものにスポットライトを当ててみましょう。
陰陽のふるさとは、宇宙の根元ともいえる「絶対・無限・永遠」の世界。そこから、 様々な陰陽の集合体が絶え間なく生まれています。
それは人だったり、動物だったり、花だったり、四季だったり。
成功だったり、悩みだったり。名声だったり、困難だったりします。
そのどれもが、運動を止めることはありません。陰陽のバランスが固定されることもありません。常に移り変わりながら、陰陽の相克を繰り返して成長し、やがては再び宇宙の根元の中に帰っていきます。
生まれること、始まることは、そこに同時に「終わり」も生じたことを意味します。
そして終わりは、新たな陰陽の誕生につながっていくものでもあるのです。
「始めあるものにオワリあり。」(*1)
これを「アベコベの原則」(*2)といいます。
苦しみは終わる
一秒前の私と、この瞬間の私は、同じ私ではありません。心臓は余分に一つ脈打ち、胃は消化活動を進め、血液は流れを止めません。どの瞬間を切り取ってみても、「まったく同じ私」は存在しないのです。
一本の大根だって、土から抜いてすぐに乾燥が始まり、少しずつ陽性に傾いていきます。私たちが赤ん坊として生まれてすぐは強い陽性ですが、成長するに従い陰性度が増してきます。
変わってゆくのです。すべては、とどまってはくれないのです。
だから希望があるのです。どんな苦境に立たされても、その状況が永遠に続くことはないとわかるからです。
苦しみはやがて去ります。悩みも、敵も、いつか消えます。生まれればなくなるのが定めなのです。くよくよしなくても良いのです。どこまでも続くように思われる自分の人生ですら、始まっているからには必ず終わります。
すべてが変わるならば、終わるならば、思い切りやりたいことに挑戦して生きる方が得です。たとえ失敗しても、どん底を味わっても、そこで状況が止まってしまうことはないのですから。
再び元気を取り戻して、何度でもやり直せるのです。
私は現在、夢に向かって努力している最中です。目標を立て、行動に移してからもう十年以上経ちました。挑戦を繰り返していますが、はっきりとした結果はいまだに出ていません。ですが、経験を積む中で確実に進歩はあり、実行内容の質は上がってきています。
私にとっては長い冬です。評価してもらいたい分野でなかなか評価されないのは、辛いものです。しかしその冬もいずれ終わり、必ず春が巡ってくるということを、無双原理は示しています。
始まった冬は、必ず終わる。冬があるから春が来る。そう信じるから、私は今日も頑張れます。
喜びも終わる。だから常に新しい。
苦しみが終わるのは嬉しい。けれど喜びの瞬間は持続してほしい。そう願っても、生まれたものは陰陽の運動の中に巻き込まれ、また別のものに変化していってしまいます。
それは一見寂しいことに感じるかもしれません。けれど変化するからこそ、また別の感動を味わえるのです。
常に新しく生まれ変わるからこそ、いつも違う世界で、違う感情を持って、違う経験と感動を味わえるのです。
地位も名誉も富もあったとして、健康にも恵まれ老いもせず、人間関係も良好で幸せいっぱいだったとしても、その状況が少しも変わらず、永遠に続くとしたらどうでしょうか? きっと飽きてしまいます。変化が欲しくなります。
ひとところに安住せず、不断に続く陰陽のぶつかり合いから生まれるパワーを原動力に、一歩でも半歩でも前に進めるよう努力し続ける。
そこに、人生の面白さがあるのです。
無双原理を人生にもマクロビオティック実践にも生かす
以上、「ウラ、オモテの原則」、「ツリ合いの原則」、「アベコベの原則」(本項)と、三項目に渡って無双原理を解説しました。
マクロビオティックを実践する中でどうすれば良いのかわからなくなったときも、この「無双原理」という基本公式を知っていれば自分で答えを見つけることができます。たとえ正解までたどり着けなくても、「誰かに教えてもらうまでまったくわからない」のと、「何とか自分で考えるだけの材料は持っている」のとでは大違いです。
マクロビオティックと無理なく長くつき合うためには、無双原理を身につけている方が良いです。
そして、マクロビオティックだけでなく、人生の羅針盤にもなるのが無双原理。道の途中で立ちすくんでしまったときに無双原理を思い出し、再び歩み出す勇気を得てください。
陰も、陽も、入れ替わり、移り変わります。私たちは刻々と「新しい自分」になります。精神、肉体、人生の陰と陽を感じ、うまく操縦していきましょう。そして、思うがままの一生を、楽しくまっとうしましょう!
マクロビオティック実践編へ!
以上で、マクロビオティックQ&A理論編を終わります。次からは、マクロビオティックの具体的な実践方法を解説していきます。 「何から始める? その1玄米に挑戦」からスタートします。