マクロビオティックをやっても病気になる人、やらないでも病気にならない人がいるのはなぜ?
マクロビオティックを始めようとする人はそもそも病気で元から内臓が弱く、少しの油断や間違いで発病してしまうから。また、調子が良いため過労気味になり、病気になることも。
やらないでも健康な人はもともと丈夫で、「自分に合った健康法」を見つけて実践できているのでは。
マクロビオティックをやっているのに病気?
マクロビオティック実践者でも、病気になるときがあります。
マクロビオティックといえば最大の健康法。玄米が主食で、野菜、海藻、豆を食べ、調味料も無添加で長期醸造の味噌や醤油。そんな食生活をしている人が病気になるなんて?
かたや、マクロビオティックなんて言葉も知らず、好きな物を飲んだり食べたりしていても、ピンピンしている人もいる。
それはなぜなのだろう? マクロビオティックをやっても病気になることがあるのなら、そんな大変そうなことには最初から手をつけず、好きに生きた方が楽しいのでは? そんな風に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
マクロビオティックをやる人=元病人
しかしそもそも、自ら進んでマクロビオティックを実践し始める人というのは、どこかしら病気なのです。
病気だから、調子が悪いから、不安だから、治そうとして色々な情報に当たり、マクロビオティックというものに行き着くわけです。
事実、私も食物アレルギー持ちで、アトピー性皮膚炎です。私の家系で最初にマクロビオティックを始めた伯父は白血病でした(マクロビオティックで完治させ、現在も存命です)。(*1)
根っからピンシャンしていて、健康不安もまったくない人が、マクロビオティックなんてものに興味を持つでしょうか。
ですから、マクロビオティックを実践しているということ自体、すでに健康的にハンデを負っている証でもあるのです。
「マクロビオティックを実践しているのに病気になった」と言われてしまう人の場合、元々病気だったのをマクロビオティックで治したのにまた同じ(あるいは違う)病気になってしまったということになると思います。
元々病気だったということは内臓のどこかがすでに健康な人より弱っているということ。マクロビオティックでいくら節制していても、ちょっとの油断で発病する危険をはらんでいるわけです。
再発を防ぎきれないのか?
だったら、油断しなければ良いではないか。再発を防ぐためにマクロビオティックの知恵はあるのではないのか?
確かにその通りなのですが、いかに真剣なマクロビオティック実践者でも、何十年も完璧に「無添加、無農薬、穀物菜食」を通すのは無理があります。生活している限り、自炊できない場面も発生してきますし、そうなるとどうしても多少の農薬や添加物は摂取してしまいます。
また、マクロビオティックというのは陰陽で食物を見て、中庸でいられるように自分でバランスを考えて食べていかなければいけないのですが、その選び方は個人の判断力や直感力に任されているため、間違いが発生することもあるのです。
そのようなことが積み重なると、病となって体に症状が出てきてしまいます。
調子が良いゆえの過労
また、マクロビオティックを実践すると頭が冴え、体の調子も良くなるので、バリバリと仕事ができてしまいます。
知らず知らずのうちにオーバーワークとなり、体に負担をかけても、「マクロビオティックをやっている」という安心感から休むことなく働いてしまいます。
いくら食物で体をととのえていても、それだけでは健康は保てません。肉体の疲労が重なった結果、病気になってしまうこともあるでしょう。
気にしなくても健康な人
では、マクロビオティックを知らなくても健康な人というのは一体どうなっているのか?
まず、生まれ持った体質が幸いにも健康であったということ。そして、マクロビオティックではなくても、ご自分なりの健康法を実践なさっていることが考えられます。
たとえばNHKの番組に「百歳バンザイ!」というのがあります。
ご出演なさっている方の食生活を見ると、決して穀物菜食というわけではありません。玄米を食べているわけでもありません。しかし、野放図に食べているのではなく、和食中心で、バランスよく召し上がってらっしゃいます。 毎日一粒の梅干しを健康の為に食べているという方もおられました。
生きているうちに自然と身につけた、「自分に合った健康的な食べ方」というのを実践できれば、マクロビオティックの知恵に則らなくても病気知らずで長生きできるのだと思います。
また、皆さん、とても朗らかで楽しげに生きていらっしゃいます。にこにこと周囲に笑顔を振りまき、料理をふるまったり、話をしたり、いきいきしておられます。そんな精神のあり方も、健康を維持する秘訣なのでしょう。
それでもマクロビオティック
やらなくても健康でいられるかもしれない。やっても病気になるかもしれない。そんなマクロビオティック。
けれど、それは、マクロビオティックをとても消極的にとらえたときの話です。
やらなくても健康でいられるかもしれない。それは事実です。しかし、やれば現在よりさらに健康になれるかもしれない。それもまたマクロビオティックの真実なのです。
医者に見放された難病が、手術が必要だとされた腫瘍が、マクロビオティックの知恵に沿って正しい食べ物を食べるだけで治った。そんな例がたくさんあるのです。(*2)
薬を手放せなかったのに、薬いらずで暮らせるようになった。食後にいつもお腹が痛くなっていたのに大丈夫になった。ぐっすり眠れるようになった。便通が良くなった。疲れにくくなった。そんな日常のささいな体調改善は、生活を明るくしてくれます。
何より、精神が安定して、ワクワク感に満ちてくるのがありがたいです。食物は、精神の「核」の質を変えます。核が変われば、その周囲にある「感情」「理性」「判断力」「直感力」の質も変わってきます。
もちろん精神には食物以外の要因も大きく絡んできますが、 核の安定化を意図的に実行できるのが、マクロビオティックのすごいところです。
概して、マクロビオティックは魅力的です。間違えば、一歩踏み外せば、恐ろしいことになることもわかっています。けれどだからこそ、間違えず、なるべく正しい道を選んで歩くことによって健康を保ってゆきたいと思うのです。
そのために自分の体と心に向き合い、真摯に勉強を続けているのが、マクロビオティック実践者なのです。
次項:マクロビオティックではない?
次項『あなたのやっているのはマクロビオティックではないと言われました』では、マクロビオティックを実践している他人に自分のマクロビオティック実践内容を批判されたときの気の持ちようを考えてみます。
*2久司道夫著「THEマクロビオティック」に実際の症例が多く掲載されていますので興味のある方はご一読を検討してみてください)