甘いものがやめられない!
7号食実践で治る可能性が高いです。
白砂糖を摂っても害の出にくいようにして、長いスパンで甘いものから離れていく方法もあります。
食養レシピ「甘い野菜のスープ」を飲むのも手です。
にんじんリンゴジュース、焼き芋や甘酒は自然な甘いおやつとしておすすめ。
そうしているうちに最後には甘いものがなくても平気になるのがマクロビオティックの神秘です。
多くの人の悩み
インターネットでマクロビオティックについて調べていると、「甘いものがやめられない」という悩みを多く目にします。
白砂糖の害については理論編「なぜ白砂糖が好ましくないのか?」に書いた通りで、なるべくなら摂取を中止するのが好ましいのは確かです。
けれど、砂糖というものは、マクロビオティックを本格的に学びでもしない限り、そこまで「ダメ!」と言われているものでもありません。
白砂糖断ちは大変
私の場合、マクロビオティックを学ぶまで、白砂糖の摂取について、太るとか、カルシウムを溶かすとか、その程度のことは聞くことがあって、「あまり食べない方がいいんだな」と認識してはいましたが、だからと言って「食べてはいけない」なんて結論づけたことはありませんでした。(*)
ですから、白砂糖の入ったお菓子をやめるのには、「7号食実践」という手荒な方法を用いる必要がありました。
ですが、一度の「7号食実践」で白砂糖から足を洗えたのは、元々、私が甘いものより塩辛いものが好きだったからだと思っています。白砂糖にそんなに執着していなかったからこそ、わりと簡単に離れられたのです。
これが、逆の好みを持っている方だったらどうでしょうか? 塩辛いものより、甘いものが好き。なのに、砂糖入りのお菓子をやめなければいけない……。相当な苦労が伴うと思います。
甘いもの大好きな妹の葛藤
私の身近に、その悩みの体現者のような人がいます。妹です。
甘いものが大好きで、食後、お腹いっぱいでもチョコやどらやきをパクついていました。「よく食後にお菓子が食べられるね。お腹いっぱいじゃないの?」と聞くと、「お腹はいっぱいだけど、甘いものは食べられる」と言っていました。
そんな妹は、パティシエ(洋菓子職人)となりました。パティシエと言えば、白砂糖に埋もれて暮らすようなもので、白砂糖断ちがもっとも難しい環境で生きていると言っても良いくらいです。
ですが、姉である私がマクロビオティックを勉強したことで、妹も「白砂糖は食べない方が良い」と気づき、何とか実行しようと努力するようになりました。
白砂糖からどうしても離れられない
けれど、「果物で甘味を摂るようにする」「黒砂糖を使ったお菓子を食べるようにする」などの工夫をしても、妹は白砂糖から離れられませんでした。
職場で、白砂糖入りのクッキーを毎日のようにもらってしまうそうなのです。断ることも捨てることもできず、つい食べてしまう……と。
私が成功した「7号食実践」も、「一日の前半は清く正しく生きられたけれど、最後の方になってフラフラしてケーキ食べちゃった」で挫折。
こんな葛藤が一年以上続いたでしょうか。電話越しに相談に乗る私も煮詰まってきました。もう無理だ! 急な転換は望めない! 白砂糖断ちを心がける以上、改善はしていくだろうけれど、「三日間白砂糖断ちに成功」というレベルにすら、妹が到達するまでには長い時間がかかるでしょう。
だったらどうすればいいか? どうするのが一番、妹にとって良いか?
考えた末に行き着いたのは、「白砂糖を摂っても害の出にくい体にする」ということです。
白砂糖とうまくつき合うために…具だくさん味噌汁
白砂糖は極陰性です(**)。その白砂糖を摂ったときに体の陰陽バランスをなるべく崩さない方法として、「体を少し陰性寄りの中庸にととのえておく」というのが考えられます。
「陽性寄り」にととのえてしまうと、極陰性の白砂糖とはあまりにも性質が離れているため、白砂糖を口にしたときにバランスが大きく崩れ、心身の調和がひどく乱れてしまうでしょう。そうなると、白砂糖から離れるのはますます難しくなります。
それを防ぐため極陽性のおかずである「肉や魚、卵」などを避けます。
「陰性寄り」にととのえるためには、たとえば、食事の基本を「玄米ご飯と具だくさん味噌汁」のようなものにします。
玄米は、48時間程度浸水させましょう。味噌汁の具は、葉野菜、きのこ類、海藻、豆腐や油揚げを主とし、キャベツやカボチャ、玉ねぎ、にんじんを少し加える程度が良いでしょう。
玄米を長時間浸水させることで、水の陰性を取り込みます。
味噌汁も水分が多いので、どちらかというと優しい、陰性寄りの中庸食品になります。その味噌汁の具にも葉野菜や海藻などの優しいものを使うことで、「体を陽性にし過ぎないおかず」になります。
バランスの崩れを小さく抑えることで害を少なく
白砂糖の性質に近い方向に体をととのえておけば、バランスの崩れを少なく抑えることができると思います。
そんな生活を続け続けていくうちには、体の性質も少しずつ変わり、白砂糖を求める量も減ってくるはずです。
白砂糖断ちが非常に困難な人もいます。やめたいのにやめられない、そんな葛藤を過度に抱えるとストレスになって、健康になるためのマクロビオティックのはずなのに、本末転倒になってしまいます。
あまりに辛いときは、どうやめるか、ではなく、いかにつき合うかということを考え、気長に改善していきましょう。
玄米ご飯と具だくさん味噌汁、お試しください。
甘い野菜のスープ(野菜の煮汁)
また、砂糖の甘い味から離れるための食養レシピとして、『甘い野菜のスープ』というものもあります。カボチャ、玉ネギ、ニンジン、キャベツといった甘い野菜の代表格をみじん切りにしてぐつぐつとエキスを煮出し、そのスープを味つけずに飲みます。
野菜の自然なうっすらとした甘さが煮汁に溶けており、それを毎日カップ一杯ほど飲んでいると、徐々に砂糖の甘さを求めない体になってくるとされています。
甘い物が欲しくなったら、このスープの限りなく自然な甘さをじっくりと舌で味わい、気分を落ち着かせるのも手です。
にんじんりんごジュース
さらに即効性のある甘いものとしてはにんじんりんごジュース(レシピはこちら)があります。生のにんじんとりんごを使い、絞りたてを飲みます。ジューサーがあればジューサーが楽でしょう。なければおろし金ですりおろし、ガーゼで漉します。
これは、個人的には、甘いものから離れたい方に本当におすすめです。なんと言っても、にんじんりんごジュースはかなり甘いのです。にんじんのショ糖、りんごの果糖がダイレクトに舌に届き、「甘いものを口にしたい」という欲求を満たしてくれます。
長期的に体質を変える試みを続けながらも、我慢できなくなったらお菓子の代わりににんじんりんごジュースを飲んでみてください。
ただし、ゴクリとは飲まず、口の中で噛んで、唾液とよく混ぜてから胃に送るようにしてください。
ビタミンやミネラルも豊富ですし、『空腹力』の中で朝食代わりに飲むことを勧められているものでもあります。
甘くてとても美味しいですよ! 間食の暴走を食い止める効果もあるように感じています。ぜひお試し下さい!
焼き芋
甘い自然派おやつとして、最近イチオシなのが焼き芋です。
秘訣は、「石焼きいも黒ホイル」を使うこと!!
アルミホイルの外側がサラサラの黒塗料で塗りつぶされているようなホイルなのですが、これで包んで焼いたさつまいもは砂糖のかたまりのように甘くなります。
洗ったさつまいもを黒ホイルでぴっちり包んで、オーブントースターの「強」(1000w)で50分。
ねっとり、ほくほくの美味しい焼き芋ができます。マクロビオティックのおやつにおすすめです!
(「黒ホイルを使った焼き芋の焼き方」について詳しくはこちら)
【黒ホイルの購入はこちら↓】
米麹の甘酒も良い
また、ヨーグルトメーカーで手作りできる米麹の甘酒もおすすめ! 栄養満点で、砂糖不使用、なのに甘い!(詳しい作り方などは以下の記事参照↓)
この甘酒に純ココアパウダーを混ぜて食べると、美味しいチョコレートのような味わいになって感動です。詳しくは以下の記事参照。↓
(市販もされているので、まずはそちらで味わいなどを確認してみるのもおすすめです。↓)
最後には絶対に甘いものをやめられます
そんな苦労を重ね、甘いものからなんとか離れようと努力しているうちにたどり着く境地があります。
「甘いものを食べなくても平気でいられる」という、完全に自由で執着のない状態です!
それまでどんなに好きで、離れるのは絶対に無理だと思っていたとしても、努力していればいつか必ず到達します。
食べなくて平気なのですから、食べたいのを我慢するということもなくなります。
甘いものではないですが、私も、大好きだったスナック菓子から完全に執着を断ちきることができました。今だったら、目の前に突きつけられても心を動かさない自信があります。
ただ、その状態に至るには、長いイバラの道があります。「我慢しなきゃ、でも我慢できない、ああ食べちゃった……」。この繰り返しです。それで良いのです。
甘いものから離れようという意識を持ち続けることです。二年も経つころには、かなりの意識変革が起こっていると思いますよ。
補足:病気(糖尿病など)の場合は、ただちに厳格に!
既に、糖尿病など、糖の摂りすぎによって日常生活に支障が出るほどの症状が現れている場合は、「糖を摂りながらもゆるやかに治していく」というやり方では悠長すぎます。
糖尿病の方は、陰陽のバランスを保とうとする体の機能が壊れている状態です。まず、完全に白砂糖は断ってください。菓子も果物も摂らず、厳密な正食で身体を正常に導きます。
詳しくは、食養療法の紹介『糖尿病』をご参照ください。
次項:玄米を取り入れられない~
次の項(「玄米が苦手or面倒で取り入れられない」)では、玄米の味が苦手だったり、玄米を炊く時間を作れない方でもできるマクロビオティックの形を提案します。