何から始める? その4~動物性食品を控える

肉の入っていた料理から肉を抜く。乳製品は植物油や豆乳で代用。卵は有精卵にし、食べる量と頻度を減らす。

マクロビオティック一番の難所?

食べるもの全般の質が高まったら、次はいよいよマクロビオティックの理論に沿って食事の内容そのものを変えていきます。まず取り組みたいのは「動物性食品(肉、卵、乳製品)を控える」ことです。

動物性食品を当然のように食生活に取り入れていた人にとってはとんでもなく難しいことのように思えるかもしれません。食物アレルギー持ち(肉、卵、牛乳)の私でさえ、マクロビオティックを学ぶ前は、食べても比較的湿疹の出にくかった「豚肉」を、少量とは言え平気で料理に使っており、それを完全に抜くということに不安がありました。料理が美味しくなくなるのではないかと。

けれど。やってみたら、意外と大丈夫なのです。肉を抜いても、料理の味は変わりませんでした。

勇気を出して肉を抜いてみる

たとえば肉の入ったカレーライス。美味しさのほとんどを肉が担っていると思っていました。ルウの中にたまにコロンと入っている肉を食べるのが楽しみで、他の野菜はその引き立て役のようでした。

けれど、マクロビオティックを学び、肉を断つ必要性を感じ、思い切ってカレーから肉を抜いて作ってみました。野菜カレー……。どうなの? 美味しいのかな? 食べてみると……「……あれ? 肉が入っていたときと味は変わらないじゃないか」。

そう、意外なほどに肉を失ったショックは感じなかったのです。むしろ、「今までなぜ肉を入れていたんだ?」と不思議になるくらい。

料理って、肉で味が決まるわけではなく、ダシや、調味料による味つけが重要なんですよね。だから、肉を抜いたところで、その他の味つけが同じならば別に料理としてはさしたる変化も感じないものなのです。

肉抜きカレー成功以来、私はそれまで「肉を入れなければ成り立たない」と思っていた料理から肉だけ抜いてどんどん作ってみました。春巻き、酢豚、豚汁、麻婆豆腐……。どれも、十分に美味しく、何の欲求不満も感じませんでした。

もう、見事にピタリと精肉を買わなくなりました。買う必要がないのですから。食べたければ食べてもいいし、そのときは買おうと思っていましたが、カレーから肉を抜いた日から今日まで、結局一度も肉は買っていません。

肉って量が多くないわりに値が張るものでもあったので、経済的にも助かりました。

肉そのものの料理は食べる頻度を減らすところから

肉の入っていた料理から肉を抜くことは簡単ですが、肉を抜けない料理というのもあります。肉をそのまま食べるような、ステーキや焼き肉、フライドチキンといったものです。

肉のない料理に満足し、それを食べ続けて肉に対する欲求が減ってきた身にも、まれに上記のような肉料理を食べたい衝動が襲ってくることがあるかもしれません。

そういうときは、あまり無理せず、なるべく薬類汚染のない肉を選んで食べてください。(「有機家」で売られている肉類は安全なのでおすすめです。)

「肉はあまり食べない方がいいよな」と心にとどめておけば、たとえ肉を食べることがあったとしても、その回数は自然と減っていきます。

乳製品は代替品で

乳製品は動物性脂肪が主な原料ですから、それを植物性脂肪に置き換えることによって代替がききます。たとえばバターは植物油牛乳は豆乳で代用できます。風味は異なりますが、あっさりと胃にもたれない仕上がりで、植物性なりの良さがあります。

ただ、チーズに関しては、同じはたらきをする植物性のものが思いつかないので、完全に抜いてしまうか、使うにしても原料の生乳の質が良いものを選ぶようにしてください。

卵は有精卵

卵には無精卵と有精卵があり、一般的にスーパーで安売りされているような卵は無精卵です。

無精卵はケージ飼いされたメスだけで生めるのに対し、有精卵は平飼い(広い場所でのびのび育てられ、よく運動している)され、オスと一緒に育てられた(交尾した)メスから生まれる卵で、基本的に温めればヒヨコが孵化します

つまり、有精卵の方が、自然で健康的な育てられ方をした鶏から生まれた、生命力のある卵と言えるわけで、マクロビオティックではこの有精卵が推奨されています。

ただ、卵自体、「とらなくても良いがとるならほんのたまに」とされているものですので、有精卵であっても、なるべく食べる量は減らした方が良いと思います。

実行内容は各人の意志しだい

動物性食品を控えることはマクロビオティック実践の基本となるものです。けれど、基本と言ってもそれをどう実行するかは各人の判断に任されています。

確かに、一刻も早く中庸の精神を手に入れたい場合は欲望をねじ伏せてでも動物性食品を我慢した方が良いですし、その方が心身の浄化が早く進みます。けれど無理をしたことによりマクロビオティックを完全に放棄するようになってしまっては本末転倒です。

(非推奨食品を)食べてはダメだと自分を苦しめるのではなく、食べなくても平気、食べる必要を感じない精神状態を作るのが目標です。マクロビオティックはそのための個人的な修行です。修行プログラムは各人の自由。

一気に駆け上がりたいのか? ゆっくり、しかし確実に上を目指すのか? 自分に合った速度で、マクロビオティック道を進んでください。

私の場合、料理から肉を抜くこと、おおよその肉料理断ち(ハンバーグ、焼肉、ステーキ)はすぐにできましたが、フライドチキンだけは今でもたまに食べたくなり、買うことがあります。

けれどその頻度は確実に減ってきているし(2ヶ月に一度ほど)、以前は我慢しきれないような焦燥感にも似た欲求だったのが、今は「ちょっと食べたいな、でも我慢できるかな」ていどにまでおさまってきています。

この調子でいけば、自然と肉に対する欲求が枯れ、いつの間にかフライドチキンも食べずにすむようになっているという状態にもっていけると思っています。

次項:砂糖の摂取量を減らそう

次の項(何から始める? その5砂糖摂取量を減らす」)では、日々の砂糖の取り方を考えていきます。