マクロビオティックでいくら陰陽のバランスをととのえていると言っても、やはりそこは人間。一度得た中庸の状態を、そのまま維持することはできない。
心身の陰と陽は昼と夜でも変わるし、食べたものや行動でも変わるし、常にゆらゆらしているのだ。
女であればさらに、月経という生命誕生の神秘に関わる大きな揺らぎも加わってくる。
マクロビオティックを始めて、私の月経にまつわる色々なことは改善されてきた。
延び延びになっていた周期が正常近くにまでととのったし、生理痛も軽くなった。
いわゆるPMSというのだろうか、月経前にイライラしたり攻撃的な音楽を聴きたくなっていたのもなくなって、穏やかに、いつもと同じ調子で暮らせるようになった。
だがやはり、月経開始直前には、体と心の変化を感じる。
まず、だるい。特に経血が出される前は体に水分がたっぷり蓄えられている感じだ。気分が冴えないというのではないが、なんとなくやる気がせず、いつもなら五個くらいこなせる仕事が二つしかできなかったりする。
そして、寂しくなる。めそめそしがちになる。これ、絶対に陰性過剰だよと心のどこかで思いながら、昔の悲しかったことを思い出して感傷的になっていたりする。
マクロビオティックをやっていても、完全には制御しきれない部分があるのだ。
もう、それは仕方ないと受け入れている。
むしろ、揺らいで当然なのに、まったく揺らがなくなる方が不自然ではないか?
女は、月の満ち欠けにそって、体と心を変化させる。そういう生き物なのだから。ちょっとくらい、月経前にめそめそしたっていいのではないか?
常に中庸で、やる気にあふれて情熱的な自分でいるのもいいけれど。
たまに、体の仕組みに従って精神が陰の方向へ引っ張られるのも面白いなと思うのだ。
マクロビオティックをやっていると、「いついかなるときでも絶好調でいなければ」という妙な強迫観念に駆られることがある。
けれど、冴えないときだってあるさ! そういうときはじたばたしない! 疲れているときは眠るに限る!
揺らぎすらも大きな「中庸」の範疇に含め、自分に対しカリカリせず、ゆったりと向上を目指す。
ときにそんなおおらかさを持つことが、マクロビオティックと長くつきあっていくコツだろう。