マクロビオティックコラム

アトピー性皮膚炎との歩み~4.大学時代の油断で湿疹が悪化

シェアする

その3からの続き)肉、卵、牛乳の食物アレルギーのため、除去食で命を養って20年。体は、湿疹が出たときだけステロイド剤を塗って炎症をおさえ、顔は脱ステロイドに成功

この頃になると、もう多少肉や牛乳を摂ったくらいで湿疹は出なくなっていたし、自分がアトピー性皮膚炎であるということをほとんど意識せず暮らせるようになっていた。

食生活の乱れ

この調子で、細く長くアトピーとつき合っていけば良い。もうすっかりアトピー対処法を身につけた気になって、かかりつけの皮膚科で処方してもらった手と体の薬を持ち、私は大学進学のため北海道から上京した。

だが、その油断は落とし穴だった。私は、自分の食への知識を過信していた。幼児のときから食べ物を自分で選んできたという自負、それによってアトピーを改善させてきたという自信が、危険を察知するアンテナを鈍らせた。

相変わらず、肉、卵、牛乳は基本的に避けて暮らしてはいた。添加物もチェックして、できるだけ有機野菜を買い、米は減農薬の7分づきだったし、調味料はすべて自然食品の店で揃えた

しかし、それと同時に、美味しそうなものを見かけたらついふらふらと近寄って買い、食べてしまうことが増えた。口に入るものすべてに神経をとがらせていた保育所時代に比べたら、コンビニの調理パンは買うわ、テスト終了祝いと称してフライドチキンを買うわ、炭酸入りの清涼飲料水や缶チューハイで一人宴をするわ、毎日のようにチョコ菓子やスナック菓子を買ってその日のうちに平らげるわ……。

「基本的には良いものを食べている」ということが、自分の中での免罪符だった。普段は自然食品の店なんかで食材を揃えているのだから、少しくらいハメを外しても平気だと思っていたし、思いたかった。実際は「少しくらい」とは言えない状況だったのだが……。完全に欲望に負けていた。

残留農薬、ジャンクフード摂取の結果

昼は学食で弁当を買って食べることが多かった。「ご飯、焼き鮭、ほうれん草のおひたし、ひじき、卵焼き」がセットになっているような内容で、体に良さそうなものを選んでいたつもりだったのだが、やはり出所不明の食物には危険が潜んでいるものだ。

その頃、中国産の冷凍ほうれん草から、基準の180倍を超える農薬が検出されたと騒ぎになり、なんと私の買っていた弁当のほうれん草がその中国産だったとわかったのだ。

ジャンクフードを頻繁に食べたこと。残留農薬を長期に渡り摂取したこと。様々な要因が絡まった結果だろうが、私の体には今までなかった症状が出始めた。

まず唇の端が切れる。首に出た湿疹がじくじくといつまでも治らない。目の粘膜が盛り上がり、かゆくて、いつも充血している。指先や手のひらに、小さな水泡状の湿疹ができる。

学食の弁当を買わなくなったら唇の端が切れていたのは良くなったが、入れ替わるように耳の下が切れ、もみあげ部分や耳の後ろに湿疹が広がった。

枕元に薬を置き、毎日塗っていた。当時は、それが食べ物のせいだとも思わず、「いつものアトピーの延長だ」と気楽にとらえていた。あのとき症状の原因をもっと深刻に考え、食事内容を厳格にできていたら、早く改善していただろうにと思う。

面倒さで荒れていく食生活

卒業に向け、私の食生活はどんどん荒れていった。最後の方は野菜を切るのも面倒で、スパゲティーの麺をゆでてレトルトの具をかけて食べたりしていた。作るのも食べるのも億劫だった。光合成でエネルギーが補給できたらいいのにと考えていた。

食には人一倍敏感でなければいけない体で生まれたのに、食べることすら面倒がるような、受動的な意識になっていた。

アトピーだから、アレルギーだから、食べ物を選ばなければいけない。そう小さい頃から理解していたけれど、私の食への理解はそこ止まりだった。アレルギーじゃなければ、アトピーの症状さえ出なければ、何を食べたって良いのだ。そんな風に考えていた。

アトピーが軽くなっていた大学時代、私は、「食で自分が作られる」ことに気づかず、食を軽視していた

「正しい食」が、アトピーを治すためでも、アレルギーを治すためでもなく存在することを知るまでには、大学を卒業してからさらに三年の月日が必要だった。


運営者紹介

マクロビオティック羅針盤」運営者の遠藤です。

当サイトでは、マクロビオティックを初歩からQ&A形式で解説しています

マクロビオティック的に最もお勧めしたい献立「おにぎり・ごぼう汁定食」について「栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?」で解説しています。

他に、メインブログとして「健康探究ブログ」を運営していますのでよろしければ遊びにいらしてください。

北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

サイト説明詳細・運営者プロフィールはこちら

関連記事

アトピー性皮膚炎との歩み~1.除去食人生スタート

生まれつき食物アレルギーのある私。病院で診断を受け、肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)を保育所でスタートさせますが、小児喘息、とびひなど、アレルギー性の疾患に次々とかかります。けれど除去食の効果で小学校入学前にはだいぶ良くなります。

アトピー性皮膚炎との歩み~2.除去食で成長。

肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)を保育所でスタートさせ、小学校入学後は給食からアレルゲンをよけて食べるようになります。牛乳は止めていたので飲み物はなし。アトピーの症状はだいぶおさまり、ステロイド剤でコントロールしながら過ごしていました。

アトピー性皮膚炎との歩み~3.浪人時代の脱ステロイド

離乳食から肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)を続けたおかげで皮膚症状はだいぶ改善されたものの、ステロイド剤を塗る日々が続いていました。せめて顔は脱ステロイドしたいと、自宅浪人を機に一念発起。リバウンドで赤くひび割れた頬を改善させるまで試行錯誤が続きました。

アトピー性皮膚炎との歩み~5.マクロビオティックとの出会い

大学卒業後、実家へ戻った私は、自分のごはんをしぶしぶ自分で作るようになります。そんな中でレシピをまとめる必要性が出てきて、ブログをレシピ集代わりにすることに。そのタイトルに採用したのが「マクロビオティック」だったのです。マクロビオティックのことをほとんど何も知らなかったのに……

アトピー性皮膚炎との歩み~6.砂糖禁止の衝撃

マクロビオティック料理のブログを開設したはいいけれど、マクロビオティックについてほとんど何も知らなかった私。渋々勉強し始めて、驚異の事実を知ります。砂糖を摂ってはいけない? なぜそんなルールがあるのか納得がいかず、マクロビオティックを深く追究することになります。

アトピー性皮膚炎との歩み~7.マクロビオティックへの信頼

砂糖禁止の理由を、様々な本を読むことで理解した私は、マクロビオティックの哲学としての奥の深さにおもしろみを感じるようになります。単なる除去食より食生活も洗練され、アトピーもかなり良くなりました。

アトピーのステロイド剤とマクロビオティック

マクロビオティックを実践しながらのステロイド剤とのつき合い方を考えてみました。

健康な人が実践するマクロビオティックの限界

マクロビオティックの食事法は、病気の人にこそ効果を発揮する。健康な人の体調ももちろん上向くが、健康というのには限度がある。

素材を選べば害は減る~肉でも乳製品でも

マクロビオティックを実践している中でも動物性食品を食べる機会はあると思います。そのときにどういうものを選べば害を少なくすませられるでしょうか?

マクロビオティックが消してくれたアトピーの悲しみ

マクロビオティックで食べない方が良いとされているものは、私の食物アレルギーのアレルゲンでした。アトピーが肯定されたように感じ、救われた気がしました。

ランダム記事

月経周期28日で中庸状態達成、保とうとして混乱~マクロビオティック実践記15

マクロビオティックを始めて一年半。月経周期が、理想的と言われる28日になりました! しかし喜んでばかりもいられません。どうしたらこの良い状態を保てるのか、意識しすぎてガチガチになってしまったのです。

厳しさが連れてくる美しさ、苦しみが連れてくる喜び

北海道の冬に触れるたびに、私は励まされる。人生の苦しみは、受け止めようではないか。逆境の中にある輝きを見つけ、それを大事にしながら、春を待とうではないか。

マクロビオティックが消してくれたアトピーの悲しみ

マクロビオティックで食べない方が良いとされているものは、私の食物アレルギーのアレルゲンでした。アトピーが肯定されたように感じ、救われた気がしました。

アトピー性皮膚炎との歩み~7.マクロビオティックへの信頼

砂糖禁止の理由を、様々な本を読むことで理解した私は、マクロビオティックの哲学としての奥の深さにおもしろみを感じるようになります。単なる除去食より食生活も洗練され、アトピーもかなり良くなりました。

マクロビオティッ苦(ク)

「マクロビオティック」とキーボードで打ち込むのはなかなか難しく、たまに間違えます。その代表格が「マクロビオティ苦」。「ク」だけが「苦」と変換されるのがミソです。

マクロビオティックコラムカテゴリー別記事一覧
マクロビオティックを考える
マクロビオティックフリートーク
マクロビオティック失敗談・初めての体験記
マクロビオティック実践記
アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ
7号食実践記シリーズ
マクロビオティックからの卒業
マクロビオティック卒業後コラム
心の健康
運営者ブログ新着記事