桜沢如一著『新食養療法』で初めて知った「ソバカキ」なるものを、深大寺近くのそば屋「一休庵」で食べ、その味や食感を深く記憶に刻んだ私。
一休庵で買い求めたそば粉の後ろには、そばがきに使う粉と水の配合が書いてあった。「そば粉一合、水九勺」。(そば粉は、一合の重さを量ったところ大体100gだった。九勺は約162ml。)
この配合に近いレシピでそばがきを作っていらっしゃった方の手順を参考にさせていただくことに決め、私は台所に立った。
鍋に沸かした湯にそば粉投入
あらかじめそば粉は量って準備しておき、鍋に162mlの湯を沸かし……。
沸騰したら弱火にしてそば粉を投入し、すぐにすりこぎで練り始める!
うわあ、固い! 鍋の柄を握る手に力が入る。汗が噴き出してくる。前屈みになり、必死にすりこぎを動かすたび、コンロの上で鍋がガッチャンガッチャン音を立てる。
うう、これは乙女の細腕にはきついわ……!
「あはははは!」
あまりの辛さに高笑いしながら、私はそば粉を練った。
なめらかな風合いが出てくる
しばらくガッチャンガッチャンやっていると、粉っぽさがなくなり、なめらかな風合いが出てきた。
お? もういい? こんな感じ? 少しつまみ食いしてみると、餅のようにねっちりしている。一休庵で食べたのとはちょっと違うけれど、まあ、これはこれでいいか。
私は鍋を火からおろし、濡れた木べらでそばがきをまとめ、別鍋に沸かしてあった湯で軽く湯がいた。
器にそばがきを盛り、ゆで汁を張って完成である。
芋もちのような食感
ふっくらした芋もちのような食感で、初めて作ったにしては上出来である!
私は小皿を二つ用意し、それぞれに醤油、そばつゆを入れ、ネギや生姜、わさびなどの薬味や大根おろしをとっかえひっかえしながら色々な味を楽しんだ。
さすがそば粉。和の薬味が合うこと!
二回目の挑戦
しかし一休庵で食べたようなあのふんわり感を出すにはどうしたら良いのか。火を弱めるタイミングが遅かったかな……と考え、私は一回目のそばがきを食べ終えた数時間後、二回目のそばがき作りに乗り出した。
そしてできたのがこちら。
こころなしかふっくら感が増した気がするが、まだまだ一休庵には及ばない……。あのふわふわした食感はどうやったら出るのだろう。練り方にコツがあるのかもしれない。このへんは試行錯誤の必要があるだろう。
それにしてもそばがきというのはなかなか腹持ちが良い。昼前に一つ、夕方に一つ食べただけで、それ以上胃に入らず一日が終わってしまった。
腹持ちが良いということは胃にずっと残るのかというとそうでもない。腹ごなしもいいのだ。夜、寝る頃にはきっちり消化されて、胃が気持ちよくぺったんこになっていた。
力は要るものの簡単に作れて、体に良く、お腹が満たされる上に消化も良い。一日に二度も食べたおかげでそんなそばがきの優秀さに気づけたのは収穫だった。
さすが食養の第一期食である! そばがきにはこれからもお世話になりたい。(そしていつか一休庵のようなふわふわそばがきを作れるようになりたい……!)
(今回作ったそばがきのレシピはこちら)