マクロビオティックを実践してまで内臓の健康には気を配っている私だが、もうお手上げ、諦めモードのものがある。
歯だ。
銀歯だらけ…
食生活に比べ、私の歯への意識はずっと低かった。小学生のうちに大半を虫歯にして、銀歯だらけになってしまった。
高校を卒業する頃にはだいぶ自意識も高まって、歯も大切にするようになっていたが、一度銀歯になったものには常に二次カリエス(詰め物の下の虫歯)の危険がつきまとう。
ああ、虫歯になる前に戻れたら。丁寧にブラッシングして、フロスもかけて、絶対に銀歯になどならないようにするのに。そんな自問を何度繰り返したかわからない……。
今の私にできるのは、少しでも現状を維持すること。泣きたいような気持ちになりながら、それでも必死に前向きに、毎晩20分以上かけて歯を磨いている。
だが今日、奥歯にちょっとした違和感を覚えた。しみる、というほどでもないが、その一歩手前のような感じだ。途端に血の気が引いた。その奥歯は、前から二次カリエスを心配していた歯だった。
すべてのやる気も、希望も、意欲も、たちまち消え失せる。憂鬱でたまらない。歯医者に行ったら詰め物を削って外すことになるだろう。
違和感があるということは、二次カリエスになっている可能性が高い。思ったより虫歯が深くて神経を取るなんてハメになったらどうしよう?
歯一本でここまで人は落ち込めるものかと思う。まったく、健康というのは本当にすべての基礎だ。歯一本でも調子が悪くなると、もう、生きるのに支障が出てくる。何事も予防が大事だよな……今さらだけれど……。
さあ、ここからが大変だ。生きた心地がしないほどのショックから、どうにか立ち直らなければいけない。すぐには気持ちを切り替えることはできない。いやだ、いやだとひとしきり騒ぎ、嘆く。
数時間経つと、気持ちは暗いままながらも、少し考える余裕が出てくる。ここで、これでもかというほどの前向きな言葉で自分を励まし慰める。
その一つになるのがマクロビオティック無双原理のアベコベの法則。始まりがあれば終わりがある。すべてのものは移りゆくという、生々流転の法則を言い表したものだ。
今は辛いけれど、この状況も必ず終わる。何事も、ひとところにはとどまらないのだから……。
そして私はここに、プラスアルファの考え方をつけ加える。「すべてのものは移りゆく。良い方向に向かって」。
そう、どんな状況も、自分が向上するために、幸せになるために、良い方向へ向かうために存在すると考えるのだ。アベコベの法則だけでは、物事が変化することはわかっても、「どのように」変わるのかまではイメージできない。だから、そこにはっきりとした方向性を加えるのだ。
良い方向に向かっているんだ。今回の歯事件にも学ぶことがあり、それが今の自分にとっては必要で、きっとあとになって「ああ、あのときの気持ちや経験があるからこそ、今のこの幸せがあるなあ」と思えるようになるんだ。
自分には良いことしか起こらない。そう固く信じることが、落ち込みから立ち直るのには有効だ。
歯が痛い? いいじゃないか、おかげで色んな経験ができるぞ! 自分を鼓舞し、私は明日、歯医者に予約の電話を入れようと思っている(う~ん、やっぱりちょっと憂鬱!)。