マクロビオティックコラム

マクロビオティックに飽きるとき

シェアする

今年の夏、にんじんりんごジュースに頼りすぎ、他にまともな食事を取らない生活を送ったために栄養失調でフラフラになって六日間ほど寝込むハメになったわけだが。

(このときの体調不良について詳しくはこちら→「マクロビオティック実践の果てに病に堕ちる」)

そもそも、なぜにんじんりんごジュースというものを食生活に取り入れようと思ったのか。もとをただせば、それは私がマクロビオティックの実践にマンネリ感を覚え始めていたからだった。

マクロビオティックの知識を得れば、これさえ食べていれば間違いないという食材がわかる。

たとえばごぼう、玉ねぎ、にんじん、小松菜、かぼちゃ、大根、きのこ。このへんを冷蔵庫に常備しておいて、あとはそれらを野菜炒めにしたり、海藻を加え全部一緒に煮込んで汁物にしたり……。

玄米ご飯に、常備野菜で作ったおかずを一品。それで健康でいられるのだ。スーパーに行ってもどんな野菜を買おうか悩まないで済むし、献立もワンパターンで良いのだから楽ちん。

マクロビオティックの知恵とは何て合理的なんだろう、料理に手間をかけるのがあまり得意でない私にはぴったりだ! と、ずっと楽しく暮らしていた。

閉塞感を覚える

だが。マクロビオティックの実践も三年目に入り、マクロビオティックが「特別なこと」ではなく「自然な、当たり前のこと」として生活に定着してくるにつれ、私は閉塞感を覚えるようになった。

マクロビオティックが身についたなんて喜ぶべきことのはずで、確かに、何も考えなくてもマクロビオティックが実践できてしまうのは素晴らしいことなのだが、そこには発展がない

トマトやナスは陰性だから食べない方がいいよね。果物も控えた方がいいね。私は陰性ぎみだから、陽性のごぼうやかぼちゃを食べたらいいよね。海藻も食べなきゃね。きのこや葉野菜で適度な陰性さも付け加えないとね。

思考回路がそんな感じで固定されて、食に関しては他のことを考えなくなっていた。停滞していた。

飽きる

極端に言うと、私はマクロビオティックに飽きてきていた

決められたワクやルールの中で、小さくまとまって生きているような小粒感。マクロビオティックという目に見えないくらいの薄い膜が自分のまわりを覆っているような気がして、その膜を破りたくて躍起になった。

それで、マクロビオティックではない健康法にがむしゃらに飛びついた。にんじんりんごジュースなんて、マクロビオティックでは良しとされなさそうなものに、良しとされなさそうだからこそ手を出した。

結果、痛い目を見たわけだが……。

それでも今回の挑戦と失敗は、マクロビオティック生活に間違いなく彩りを与えてくれた。大コケして、初めて気づき得たことがあったのだ。

たとえば、今までは空腹は無条件で薬と思ってきたけれど、栄養バランスが取れた上での空腹じゃなければ飢餓となり、倒れてしまうのだということ。

定番の常備野菜が優れものであることは間違いないけれど、他にも様々な野菜を食生活に取り入れていくことで、楽しさも出るし、体に活力もみなぎってくるということ。

マクロビオティックをはみ出すことで、マクロビオティックを再発見する。

故きを温ねて新しきを知る、ならぬ、新しきを温ねて故きを知る……といったところか。

マクロビオティックをはみ出すことの大事さ

マクロビオティックというのは、一通り学び終えて、体調も良い感じで落ち着くときが来る。そこで、人によっては、私のように「飽き」が来るかもしれない。

そんなときはマクロビオティックをどんどんはみ出して、「こんなことして大丈夫だろうか?」ということに挑戦してみたら良いと思うのだ。

失敗もあるだろうが、新たな学びも必ずある。

私はこれからも、興味のわいたことは気軽に試してみるという姿勢を大事にしたいと思っている。

マクロビオティックからときに離れ、再び寄り添い。陰と陽の相克で発展! という無双原理を心に、生きていきたい。

【マクロビオティック卒業後の食事法について】

追記:その後、マクロビオティックを卒業し、自分オリジナルの健康道に移行しました。↓

玄米・ごぼう汁基本食健康法

↑「玄米・ごぼう汁基本食」を食べたらあとは何を食べても自由という食事法です。


運営者紹介

マクロビオティック羅針盤」運営者の遠藤です。

当サイトでは、マクロビオティックを初歩からQ&A形式で解説しています

マクロビオティック的に最もお勧めしたい献立「おにぎり・ごぼう汁定食」について「栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?」で解説しています。

他に、メインブログとして「健康探究ブログ」を運営していますのでよろしければ遊びにいらしてください。

北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

サイト説明詳細・運営者プロフィールはこちら

関連記事

マクロビオティック完璧主義者すぎて、マクロビオティック実践が苦しくなった

私はマクロビオティック実践において、かなり高い理想を掲げていた。憧れていたのだ。厳格なマクロビオティックに。しかしそのせいで、原則を破ったときの罪悪感も大きくなった。

マクロビオティックを離れて初めてわかるありがたさ

私はマクロビオティックから離れた。誰の、どんな健康法にも傾倒しない、自由な立場を取り戻した

マクロビオティック指導者に頼る人の気持ち

私は、マクロビオティックで病気を治そうとする人が、いわゆる「指導者」と呼ばれる人に指示を仰ごうとする気持ちがわからなかった。

マクロビオティックをやめるということの意味

マクロビオティック実践者がマクロビオティックをやめるとはどういうことか。

人生は自分で決める。マクロビオティックも。

理想の人生とは何だろうか? 「自分の選んだ道で、うまくいくこと」だと私は思う。「自分が選んだのではない道で、うまくいかないこと」が最悪だ。

マクロビオティックと「堕落論」(坂口安吾著)に通じるもの

マクロビオティックをはみ出して自分だけの道を究めようとして失敗した私に、坂口安吾「堕落論」がヒントを与えてくれました。『自分自身の武士道(略)をあみだすためには、人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。』

マクロビオティックという学舎を卒業するとき

私はマクロビオティックを卒業し、自分の健康道を歩き始めることにした。これからは自分だけの理論で。自分だけの感覚で。自分の健康法で生きていきたい。

マクロビオティック道の終点を迎えた経緯その1

なぜマクロビオティック道ではなく、似てはいるがまったく異なる道を歩もうと決意するに至ったか、その経緯を振り返ってみたい。

マクロビオティック道の終点を迎えた経緯その2

マクロビオティックを実践していたにもかかわらず風邪をひいたことで、世の中には避けきれない病気があると知った。それならばマクロビオティックを続ける理由は無い。

マクロビオティック道の終点を迎えた経緯その3

マクロビオティックをやめよう。私はそう思うようになった。そして、マクロビオティックという大前提を意識から取っ払うことにした。

ランダム記事

楽をしたいなら苦労も背負う

マクロビオティックは「楽しい」ということが強調される場合も多いですが、実際は苦しい場面も多いです。それを耐え抜いてこそ、楽しい境地が開けるのです。

マクロビオティックが消してくれたアトピーの悲しみ

マクロビオティックで食べない方が良いとされているものは、私の食物アレルギーのアレルゲンでした。アトピーが肯定されたように感じ、救われた気がしました。

理論を考えすぎて突き抜け、もっと自由な境地へ~マクロビオティック実践記17

マクロビオティックを始めて一年八ヶ月。理論を詰め込みすぎて苦しんでいた時期を突如抜け、私は自由な境地へ躍り出たのでした。

初めての「豆腐チーズ」体験記

豆腐チーズなる、豆腐を味噌に漬けた一品を作ってみました。確かに、香りや食感がチーズに似ています。写真つきでレシピも紹介。

月経前の揺らぎ~揺らいでもカリカリしない。揺らぎを受け入れる。

マクロビオティックで心身をととのえていても、やはり月経直前の気持ちのゆらぎを完全に制御することはできません。でも、それも自然なことだと思うのです。

マクロビオティックコラムカテゴリー別記事一覧
マクロビオティックを考える
マクロビオティックフリートーク
マクロビオティック失敗談・初めての体験記
マクロビオティック実践記
アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ
7号食実践記シリーズ
マクロビオティックからの卒業
マクロビオティック卒業後コラム
心の健康
運営者ブログ新着記事