2008年10月。マクロビオティック開始から一年半。
私にとって、マクロビオティック実践史上最大とも言える体の変化がおとずれる。
月経が、理想的と言われる「28日周期」でやってきたのだ!
詳しくは『中庸で変わる体と心~サインは月経周期28日』に書いたが、マクロビオティックを始めるまで私の月経周期は年々長くなっていっており、40日を超えることもあったのだが、マクロビオティック開始10ヶ月目で32日にまで縮まり、以降、32日周期で安定していた。
それで私は十分に満足していた。28日が理想的とは聞いたことがあったが、初潮以来ずっと30日を超える周期で来ていたため、28日周期で来ることなど期待もしていなかった。
それが、28日周期になるなんて!
もしかしてこれもマクロビオティック効果か? とドキドキしているところへ追い打ちをかけるように、ちょうどその頃読んでいた『マクロビオティック「自然療法」』の一節が目に留まった。
「適切に食べていくと、月経は満月と新月の間に起こるようになり、これによってその女性も「中庸」であることが示される。」(p.205)
新月と満月の間? そんなこともあるのかねえ……。神秘的すぎて真に受けられないながらも、興味がわいて、「新月・満月の時刻表」で調べてみた。
そうしたら、月経開始の「10月7日」が、本当に新月と満月の間だったのだ!
うわあ、本当だ、じゃあ私は今、中庸ってこと?
喜ぶべきところだが、私はにわかに緊張してきた。
ここまで私は、特に「中庸を目指す」という意識もなく、楽に、自然に、適当にマクロビオティックをやってきていた。
食事の基本は鉄火味噌おにぎりとごぼう汁で、その他、赤飯や小松菜・大根葉の煮浸し、ひじきの煮物……。
だが間食では暴走することもあったし、「厳格」とまでは言えない状態だった。
それでも月経周期28日? 中庸? 期せずして転がり込んできた幸運を、受け取る準備をしていなかったために手から取りこぼしてしまいそうな、そんな恐怖に駆られた。
今が中庸と言うなら、それを逃したくない。保ちたい。けれど、どうしたら中庸でいられるの?
今までのペースで、好きにやればいいのでは? でも、何も考えないでやってきたから、「今までのペース」と言われてもどんなペースかわからないし、「好きにやれば」と言われても何をどうしたらいいのか立ちすくんでしまう。
9月から10月にかけて食べたものの記録を詳細に取っておけばよかったと激しく後悔した。
↑鉄火味噌おにぎり、ごぼう汁、もろみべったら漬け、小松菜の煮浸し(2008.10.23)
それでも、なんとかやっていくしかない。私は気を落ち着かせて、とにかく「鉄火味噌おにぎりとごぼう汁」という安心の鉄壁ルールを軸にすれば大丈夫だと自分に言い聞かせた。
しかし中庸を強烈に意識したせいで、それまでの楽しく自由な感じは消え、私は「何が陽? 何が陰? 今の私は陰? 陽?」とガチガチになってしまった。
マクロビオティックの書籍も、桜沢如一氏、久司道夫氏の本を合計で14冊読み終えていた頃で、かなりの量の理論が頭を渦巻いていた。
その理論が私を縛り付けた。何をどう食べれば中庸になるのか? 何を食べたら崩れてしまうか? 私は考え、考え、夢の中でもマクロビオティックの話題で終始持ちきりで、疲れ果ててしまった。
こんな風になるなら、理論など何も知らない方がよほど楽だった……。ああ、知らない頃に、強気で何でも作れた頃に戻りたい。
苦しみながら、それでも私は必死に「中庸を保つコツ」を見つけようとしていた。
(「理論勉強の大詰めと落ち着き~マクロビオティック実践記16」に続く)