今でこそだいぶ食べ物への執着もなくなり、砂糖も肉もスナック菓子も、食べずに平気でいられる自分にはなったが。
ここに来るまで一年十ヶ月。その間にはもちろんあらゆる欲望や誘惑との闘いがあった。
理想はわかりながらも、言い訳をして食べ過ぎて、胃がおかしくなって反省する。そんなことの繰り返しだった。
その、失敗しながら歩んできた道のりを、「マクロビオティック迷走記」として振り返ってみたいと思う。
砂糖禁止の衝撃
まずはマクロビオティック開始から三ヶ月目まで。
2007年の5月、6月、7月あたり。
最初、マクロビオティックを食物アレルギーの除去食のようなものだと思っていた私は、マクロビオティックが動物性食品だけでなく砂糖まで避けていることを知って驚き、怒り、嘆きもした。
なぜダメなのか? 疑問と怒りに震えながら読んだのが桜沢如一著『ゼン・マクロビオティック』。
ここから、本で理論を学ぶ日々が始まるわけだが、頭で「砂糖はあまり良くない」とわかっても、それまでの習慣というものがある。私は、白砂糖は使っていなかったものの、未精製の原糖はよく料理に加えていた。
「ダメって言われても……原糖ならいいよね? 美味しいし……」と、ちょっとビクビクしながらも、原糖を使わない料理の味など想像できなくて、使わなければ美味しくならないと信じて、大さじ1~大さじ2ほどの原糖を煮物やあんかけに使っていた。
その頃に作った料理レシピは、このサイトにも掲載している。『ぷりぷりイカの甘酢炒め』だ。
↑ぷりぷりイカの甘酢炒め(2007.7.24)
鶏ガラスープにケチャップ、酢。原糖は大さじ2。イカもピーマンもためらいなく使っているし、強気としか言いようがない。(現在は鶏ガラスープを野菜コンソメスープに改訂している)
だがこれだけ自由な感じでいられたのは、マクロビオティックの理論をまだよく理解していなかったため。実践期間も少ないから、食物が体に与える影響をあまり実感してもいなかった。
自分と闘って葛藤し抜いた後に得た自由ではなく、知らなかったゆえに無邪気でいられた頃の自由だった。
主食に玄米を取り入れはしたものの、美味しくないのを懸念して、3合のうち1合は胚芽米を混ぜていた。
まだどこかマクロビオティックに対して信頼感が薄く、「玄米!」やら「砂糖ダメ!」と言った見知らぬ食事方法に完全になじむことはできないでいた。
おやつは以前と同様に、あんこたっぷりのおやき、大福、スナック菓子、アイスクリーム、たまにチーズケーキ、バームクーヘン、チョコレートケーキ、アップルパイなど、「まあ減らした方がいいんだろうけど食べたければ無理しな~い」というノリで食べていた。
この頃はまだ、そういうものを食べても体調が崩れなかったのだ。いや、崩れても、それに気づけないほどに体の変化に鈍感だったのかもしれない。