前回の「前は食べられたものが食べられない」に続き、今回も、読者様のメールから一つ取り上げさせていただく。
『朝、食欲が出ない』というもの。
私個人の経験から言えば、朝の胃もたれは前日の食べ物が未消化であることが原因の場合がほとんどだ。
消化をよくするためには、まずよく噛むことが必要となる。
実は私は、マクロビオティックを始めるまで、噛む回数が少ないことで家族の間でも有名だった。妹に知らず知らずのうちにカウントされ、「今、10回しか噛んでなかったよ」と指摘されると、「勝手に数えないでッ!」と逆ギレする始末。
噛むことがそんなに重要とは思っていなかった(思っていれば実行できる)。
その影響も多分にあったと思うが、噛まなかった頃は腹痛を頻繁に起こしていた。食べながらお腹が痛くなってきて、食後はしばらく横になっていなければいけなかった。自分の胃が弱いのだろうと思い、胃薬を飲んだりしていた。
だが、マクロビオティックを始めて、桜沢如一氏の本にしょっちゅう「噛め、噛め」と書いてあるので、渋々ながらも噛むようになった。噛み慣れていないため、顎が痛くて仕方なかった。
けれどそうやって一口につき50回から100回噛むようになり、ドロドロになった食物を飲むような食事を続けていたら、腹痛がぴたりとおさまったのだ。便秘も治った。
胃への負担を減らすのに最も簡単な方法は「よく噛む」ことだ。これを実行するだけでも、もたれは軽減されるに違いない。
次に心がけたいのが、夜遅くまで食べないこと。
これは、私自身、『実行が一番難しいこと』として悪戦苦闘しているのだが、実行が難しいだけに効果は高い。
よく噛んで食事を腹八分で終え、その後、間食せずに5~6時間おいて十分胃がこなれてから就寝するのだ。(う~ん、理想!)
こうすると、翌朝は空腹状態。「お腹空いた~」と、気持ちの良い朝を迎えることができるだろう。
また、朝の食欲不振には寝不足も関係していると思う。熟睡できずに目の下にクマができているようなときは、起きてもなんとなく具合が良くないものだ。
揚げ物の食べ過ぎで胃が重くなることも大いにあり得る。これは私もやってしまいがちな失敗なのだが、揚げ物は美味しいので、ついたくさん食べてしまう。すると、高確率で翌日の食欲不振につながる。揚げ物の摂りすぎには注意したいものである。
夜遅くも食べていないし、消化は十分できてお腹も空いているのに、朝は食べられないという場合は胃の負担にならない食べ物を食べるというのも有効だ。
候補の筆頭は玄米ご飯。 私自身は、前日に油ものを摂りすぎたりして胃がもたれて食欲が出ないときは玄米ご飯以外食べられなくなる。汁物や他のおかずを食べると具合が悪くなる。
案外、かなり具合が悪いときでも、不思議と玄米ご飯だけは食べられたりするものだ。玄米粥にすると、もっと優しい感じになって食欲をそそる。
それすら入らないときは梅干しと胡麻だけを薬のように食べて胃が沈静化するのを待つのも手だ。
以上、よく噛み、夜遅く食べず、よく寝て、揚げ物に注意し、胃の負担にならないものを食べ、それでもダメなら梅干しと胡麻という方法を、「朝、食欲が出ない」という状態を改善するために提案する。