マクロビオティックコラム

クローン牛・豚が解禁? マクロビオティック実践者の心構え

シェアする

2009年1月6日産経新聞配信のyahoo!ニュースによると、内閣府食品安全委員会の専門家ワーキンググループが体細胞クローン牛と豚の安全性を認める見通しで、『今年中にもクローン動物食品の流通が認められる可能性が出てきた』という。

体細胞クローン動物とは

体細胞クローン動物とは、元の個体の体細胞から核を取り出し、未受精卵に移植して仮親の子宮に移して生まれさせたもの(*1)で、いわゆるコピー

先の専門家グループは『従来の牛や豚と差異のない健全性が認められる。肉質や乳成分、子孫についても差異は認められない』と述べているそうだ。

マクロビオティックでは牛や豚は食べなくて良いことになっているが、「食わねばならない時がもしあったら、(略)食ってもビクともしない、というような体格を作る」(*2)のがマクロビオティックの最終目的であるならば、マクロビオティック実践者にとってもこのニュースは無関係ではあり得ない。

マクロビオティック実践者であっても、牛肉や豚肉を口にする場合のことは考えておかなければいけないのだ。

では、クローン牛や豚に対し、マクロビオティック実践者はどのような心構えでいれば良いのか?

避けた方が良い

まず、体細胞クローン動物というのが本当に「健全」と言えるのかどうかということだが、確かに科学的にはその組成に問題はないのだろう。

だが、クローンを生み出す過程が自然か不自然かと言えばもちろん「不自然」。生命の誕生という、宇宙の根元のようなところを人為的に操作しているのだから、もう不自然の極みだ。

不自然に生産された食品が、人間の体にとって自然であるわけがない。

動物というだけでも陽性が強すぎてバランスが崩れるから食べない方が良いとされているのに、クローン牛・豚となればその究極の不自然さも相まって体にどんな悪影響をもたらすかわかったものではない。

だから、クローン動物を食べることは強烈に避けた方が良いだろう。

「Cビーフ」表示

だが、問題はそれでは終わらない。クローンを避けたいというときにクローンを見分けるための目印があれば良いのだが、クローン食品であっても表示義務はないのだ。

かろうじて任意で表示されるのが「Cビーフ」というものだという(「clone=クローン」の「C」だろうが、国産牛を表す「Jビーフ」に語感が似ていて紛らわしい)。しかしクローンとわかって喜んで買う消費者がそう多くいるとは思えない。売る側として、表示義務がないのであれば表示したくないのが本音ではないか? 「Cビーフ」表示にはあまり期待できない。

今までは国産であればそこそこ安心できていたのが、クローン牛・豚の流通が認められてしまうと国産ですら危なくなる。一体どうすれば良いのか?

興農ファームの肉

解決策の一つとしては、信用できる牧場で育てられた牛や豚の肉を買うことが挙げられる。たとえば北海道標津町、「興農ファーム」の興農牛、興農豚は、自家製有機牧草や国産、道産の米ぬか、くず米、大豆の皮などを飼料として育てられているという。(通信販売も行っている。)

そのような高い意識を持った牧場であればクローン牛・豚などを取り扱うことはないだろうから安心できる。

まず、得体の知れない、出自の怪しい肉はできるだけ食べないこと。

「Cビーフ」表示のある店であれば、「Cビーフ」ではない、餌にも気を配った国産の肉を買うこと。

万全を期したければ、信用できる牧場を見つけておき、そこで肉を買うこと。

マクロビオティック実践者であるというだけで、その知識によってかなりの食の危険は回避できるわけだが、今回のような新手の「クローン牛・豚」に対応するにはまた新たな知識を仕入れなければいけない。

食品市場の進化、変化にともない、マクロビオティック実践者にもさらなる柔軟性と適応力が求められている。


*1科学技術庁「クローンって何?
*2桜沢如一著「食養人生読本」p.99
運営者紹介

マクロビオティック羅針盤」運営者の遠藤です。

当サイトでは、マクロビオティックを初歩からQ&A形式で解説しています

マクロビオティック的に最もお勧めしたい献立「おにぎり・ごぼう汁定食」について「栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?」で解説しています。

他に、メインブログとして「健康探究ブログ」を運営していますのでよろしければ遊びにいらしてください。

北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

サイト説明詳細・運営者プロフィールはこちら

関連記事

マクロビオティック優秀献立おにぎり・ごぼう汁定食誕生秘話

マクロビオティック的にも素晴らしい上に、栄養所要量をも満たす優秀献立「おにぎり・ごぼう汁定食」誕生の裏話です。おにぎり・ごぼう汁定食は、高校時代、スキー授業の昼食で食べた「熱々の豚汁とおにぎり」の記憶から生まれました。

自分をマクロビオティック実践者だなあと感じるとき~白砂糖を避けようとする

普段の生活において、自分をマクロビオティック実践者だとことさらに意識することはない。だが、先日、マクロビオティックが「異物」として、私の中でその存在をあらわにする経験をした。数年ぶりに訪れた、和食レストランのお土産売り場でのことだ。

掌編小説:マクロビオティックとの対話~桜下の老人

マクロビオティックの哲学を題材に掌編小説を書いてみました。夢に向かって努力しているのになかなかうまくいかない主人公の前に、玄米おにぎりを持った老人が現れます。その老人が主人公に語りかけた言葉は……

マクロビオティックで長生き遺伝子発動

マクロビオティックはやはり長寿に関係あり! その秘密は老化をストップさせるSIR遺伝子にあります。

マクロビオティックは偏食?

マクロビオティックは偏食とは違います。嫌いだから食べないのではないし、食べようと思えば食べられるのですから。しかし、そのような見方をされても構わないと思っています。

「チャヤマクロビオティックレストラン」探訪記

チャヤマクロビオティック伊勢丹新宿店(ランチ)の感想、口コミ、レビューです。写真入り。ショートケーキが美味しかった!

「パティスリーシンプルモダンマクロビオティック」探訪記~マクロビオティックとフレンチの融合

パティスリーシンプルモダンマクロビオティック(自由が丘)の感想、口コミ、レビューです。写真入り。パティシエの妹をもうならせるスイーツ群です!

埼玉県大宮氷川神社でマクロビオティック弁当持参の一人ピクニック

埼玉県の大宮氷川神社に、マクロビオティック弁当を持って行ってきました。

マクロビオティックで自炊力アップ

マクロビオティックのおかげで、自炊力、生活力がアップしました!

除去食ベースのマクロビオティック料理

肉、卵、牛乳除去。これだけでもマクロビオティックとしてかなり十分だと思えるのです。

ランダム記事

完全粉(全粒粉)100%でパン作り~ガチガチのダンゴになった失敗談

全粒粉(完全粉)100%のパンを焼いてみようとしたのですが、できあがったのは茶色でガリガリのだんごのような無骨パンで……。写真とともにその経過を掲載。しかしこれで諦めたわけではない! リベンジを誓う!

強くない体に守られている

胃腸が強くないことで太りすぎずにすんでいるんですよね。物事は、マイナスだけではありえず、必ずプラスの面があることを考えさせられます。

アトピー性皮膚炎との歩み~1.除去食人生スタート

生まれつき食物アレルギーのある私。病院で診断を受け、肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)を保育所でスタートさせますが、小児喘息、とびひなど、アレルギー性の疾患に次々とかかります。けれど除去食の効果で小学校入学前にはだいぶ良くなります。

栄養失調~いわゆる夏バテ:後編-食べ物はバランスよく、たくさんの種類を摂るのが大事

栄養失調による夏バテを経験して初めて、私は「バランス良く、たくさんの種類の食物を摂る」ことの重要さを知った。

マクロビオティック成功と失敗の定義-成功の秘訣は信じること

マクロビオティックをやって成功したか失敗したか。成功する秘訣は、うまくいくと信じて続けることです。ただ、途中で離脱しても、最終的に感謝が持てたなら成功です。

マクロビオティックコラムカテゴリー別記事一覧
マクロビオティックを考える
マクロビオティックフリートーク
マクロビオティック失敗談・初めての体験記
マクロビオティック実践記
アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ
7号食実践記シリーズ
マクロビオティックからの卒業
マクロビオティック卒業後コラム
心の健康
運営者ブログ新着記事