マクロビオティック実践開始以来、食べ過ぎなどで胃がもたれたりすることはたまにあったが、「風邪をひいて寝込む」なんてことは一度もなかった。
マクロビオティックを慎重に実践したおかげで健康を保てていたというのもあるし、「風邪をひいてはいけない」と自分を戒めていたせいもある。
「マクロビオティック実践者たるもの、風邪の一つもひいてはいけない」。
病は健康のウラとは思いながらも、「正食者は風邪などひかない!」「風邪をひくようではまだまだだ!」という桜沢氏の言葉を思い出しては、「風邪をひかないことが正食者の証なんだ」と自分に「風邪ひき禁止令」を出していた。
風邪をひいた
それが、思いがけないところから健康が崩れ、たちまちフラフラになって寝込むハメになってしまった。(このときの体調不良について詳しくはこちら→「マクロビオティック実践の果てに病に堕ちる」)
栄養不良による夏バテだったのだが、広義では風邪といえるだろう。
マクロビオティック実践者なのに風邪をひいてしまった。
ひいてしまったものは仕方ないのだから治すしかないのだが、私はベッドの中で今後の身の振り方を案じた。
どうしよう。こんな風に体調を崩したと、皆に言いたくない。マクロビオティックなんてそんなものかとがっかりされるんじゃないか……。
風邪くらいひく
そこで母に相談した。母はこともなげに言った。「大丈夫だよ。何も思われないよ。人間、生きていれば風邪くらいひくよ」
その一言で楽になった。そうだよな、生きていれば風邪くらいひくよな……。
だるい体をもてあましながら、私は意識の転換を図った。
病を知る必要
これは天が、「そのやり方は違うよ」って教えてくれているんだよ。ありがたいムチなんだよ。真実に気付かせるため、病をくださったんだよ。
放置されなかったんだよ。愛があると思わない? 病気にならない方が見捨てられているんだよ。だって今回体調を崩さなければ、そのまま暴走して取り返しがつかなくなっていたかもしれない。
それに、この、病気のときの気弱な心。これを知らなければ、病を治すためにマクロビオティックに行き着く人、このサイトに訪れてくれる人の気持ちに寄り添うことはできない。
私は病を知る必要があったのだ! 天よありがとう!
良い機会
そんなことを目をつぶって考えているうちに、だんだん心に炎が燃えてきた。
せっかく体調不良になったのだ、これから、何をどうやって食べたら回復していくのか、じっくり観察しようじゃないか。栄養失調の状態になんてそうそうなれるものじゃないから、またとない勉強の機会になるぞ!
得られた新たな見識は、きっとこれからの食生活をもっと豊かにしてくれるぞ。そう考えれば楽しみじゃないか!
マクロビオティック実践者たるもの、確かに風邪などひきたくない。けれど、自分の健康をより向上させようと、よかれと思ってあれこれ試している中で、ついしくじってしまうこともある。
それでいいじゃないか! 病気を避けようとして模範的なマクロビオティックの食生活を送ったとしても、絶対に病気にならない保証などないんだし。
病気を、失敗を、必要以上に恐れるのはやめようぜ! ガチガチになって身動きが取れなくなってしまう。そんなときはむしろ、泥の中に駆け出して、思い切りハデに転んでやればいいんだー!!
……しまいには楽しくなってきて、枕元に置いてあった吸い飲み入りの三年番茶を一口すすり、フフフとほくそ笑む私なのであった。
(この栄養失調が回復した後、病み上がりの油断がたたって私は再び体調を崩しました。続きはこちら→「病気を受け入れる」)
【マクロビオティック卒業後の食事法について】
追記:その後、マクロビオティックを卒業し、自分オリジナルの健康道に移行しました。↓
↑「玄米・ごぼう汁基本食」を食べたらあとは何を食べても自由という食事法です。