2009年3月末から妹と二人暮らしを始めた当初から、家事全般を私が担当している。
もちろん、買い出しや炊事も全部私がやっている。
野菜を買いにスーパーに行き、料理を作るために台所に立つとき、私は驚くのだ。
いやはや、ずいぶんと手慣れたものだ。健康を保つために最低限必要な食材を過不足なく選び、体が喜ぶ豊かな食卓を作り上げてしまう。
とても私とは思えない!
何しろ私は元々、料理するのが好きではない。手首の力や握力が強くないせいか、野菜を切るのもおっくうで、特に固いにんじんやかぼちゃ、ごぼうは大敵。
大学時代、とりあえず栄養だけは摂ろうと思ってなんとか小松菜の野菜炒めと納豆ご飯を毎日食べて生き延びていたのだが、「あ~料理するのも食べるのも面倒くさい。植物はいいな、私も光合成したいよ」と思っていた。
それが、マクロビオティックを学んでから少しずつ変わっていった。まず、食べ物が自分の体を構成しているのだという意識が強くなり、食事への関心が高まった。
マクロビオティックの理論を確かめるという目的の元に、実験するような気持ちで料理にも興味を持って取り組めるようになった。
そうして数をこなすうちに慣れてきた。にんじんやかぼちゃなどの固い野菜も、両手を使った豪快な切り方を編み出すことであまりストレスなく扱えるようになった。
「これさえ食べときゃ間違いない」というメニュー「おにぎり・ごぼう汁定食」も、マクロビオティックの知恵を元に見つけることができた。
二年近く、実家でみっちりとマクロビオティックの勉強と実践をこなしたおかげで、私の自炊力は格段にアップしたらしい。
実家にいた頃はまだ買い出しは母がしてくれていたので、自分の自炊力の飛躍を感じることはあまりなかった。
だが今、妹と二人暮らしをして、買い出しから自分でするようになってみて初めて「おお、私も自炊力が上がったものだなあ!」と気付けた。
いまだに料理はそう「好き」という部類ではない。それでもやっていけるのは、体にとって必要な材料の選び方と、最小の手間で最大の効果が出せる料理の作り方、献立の組み方を、マクロビオティックの勉強によって身につけることができたからだ。
こんな私は、人から見ると、すごく料理好きに見えるらしい。サイトに大々的に「マクロビオティック料理レシピ」なんてコンテンツを掲げているせいもあるだろうが、「マクロビオティックの料理店を開けばいいのに」なんて言われたこともある。
目が点である。料理店? とんでもない! めっそうもない! 料理好きだから料理を作っているというわけではない!
ただ、マクロビオティックというなんだか興味深い哲学の実践に料理が含まれているから、どんなものかと思って実験しているだけ。実験がそのまま料理になっているだけ。
思えば本当におかしなものである。マクロビオティックという学問を研究すること=料理することになるなんて。
だが、マクロビオティックがそういう側面を持った哲学で助かった。
料理は好きじゃなくても哲学が好きな私は、食べ物で哲学をしているマクロビオティックを学ぶことによって自然と料理の経験を重ね、自炊力をアップさせることができた。
自炊力のアップは生活力のアップにつながる。マクロビオティックを学ぶ前までは一人暮らしも心もとなかったが、今だったら立派に一人でも健康にやっていける自信があるぞ!
生活力はアップするし精神も鍛えてくれるし、マクロビオティックって本当に実用的な哲学だね!