マクロビオティック食事法(上)
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「マクロビオティック食事法(上)」を読んだ感想
四カ国語で出版された「Macrobiotic Diet」の日本語訳版です。
久司氏の他の著作に比べ、語調が厳しめで、読み物としての面白さを感じさせます。序盤では、『人類の生物学的・社会的弱化の一覧』として、アメリカの病的現実が列記されています。一見するに信じがたいほどひどい数値で、何度も「えーっ!」と声を上げて驚きました。
『アメリカの5組に1組の夫婦は、子供を生む能力を持たない。』『1965年から82年までのあいだに、不妊手術(筆者註:卵管を縛るなど、自主的なもの)を受けた女性の数は7%から26%にふえ、断種手術を受けた男性の数は5%から15%にふえている』(p.24)
そして、現代の科学と医学が推進する『身体の人工化』(『健康な女性に対して癌予防のために行われる、片方または両方の乳房の切除』等(p.38)は『病気や障害の真の根本原因を見つけ』(p.39)ることにならないと警笛を鳴らします。本書全体の四分の一ほどのページがこのような思わず悲鳴を上げてしまう恐ろしい現実を紹介することに割かれているので、何やら悲観的なムードが漂います。
ですが、そこからは論調が一変。このままでは危ない現実を変えるための『生物学的革命』(p.39)としてのマクロビオティックが説かれていきます。
「宇宙の秩序」から陰陽の考え方、食物の陰陽、マクロビオティック基本食の細かな内容が、簡潔に、しかし不足なく書かれています。
特に、栄養学から見たマクロビオティックの記述が詳細です。カロリー、たんぱく質、炭水化物、脂肪、ビタミンについて、章立てされて科学的数値も交えながら説明されています。
主要なビタミンごとにそれ含む植物性食品も紹介されているので、マクロビオティックを現代栄養学の観点からも考えたい方にうってつけだと思います。
また、『食事の調整』(p.126)という章は、春夏秋冬や性別、生理期間、個人的欲求など、それぞれに応じた食事内容が陰陽バランスから具体的に説明されており、大変参考になりました。(『秋には、(略)寒さが増していくにしたがい、炒め物、穀物シチュー、糯米や餅、豆シチュー、濃いスープなど、こってりとした濃厚な味の料理を、より多く食卓にのせるようにする。』(p.129)
最後の章では、家族、男と女、共同体、教育、犯罪と暴力、運動とスポーツ、エコロジーと自然環境……など、様々な分野がマクロビオティックの視点で読み解かれており、エッセイ風な読み応えがありました。実用的であることに重きがおかれていることの多い久司氏の本にしては珍しい箇所なのではないかと思います。個人的には本書の中で最も興味深く読みました。
マクロビオティックの基礎を修得し、実践もある程度積まれた方が、より適切なマクロビオティックを行うため、または補足知識を得るために読むと良い本だと思います。
久司氏の他の著作に比べ、語調が厳しめで、読み物としての面白さを感じさせます。序盤では、『人類の生物学的・社会的弱化の一覧』として、アメリカの病的現実が列記されています。一見するに信じがたいほどひどい数値で、何度も「えーっ!」と声を上げて驚きました。
『アメリカの5組に1組の夫婦は、子供を生む能力を持たない。』『1965年から82年までのあいだに、不妊手術(筆者註:卵管を縛るなど、自主的なもの)を受けた女性の数は7%から26%にふえ、断種手術を受けた男性の数は5%から15%にふえている』(p.24)
そして、現代の科学と医学が推進する『身体の人工化』(『健康な女性に対して癌予防のために行われる、片方または両方の乳房の切除』等(p.38)は『病気や障害の真の根本原因を見つけ』(p.39)ることにならないと警笛を鳴らします。本書全体の四分の一ほどのページがこのような思わず悲鳴を上げてしまう恐ろしい現実を紹介することに割かれているので、何やら悲観的なムードが漂います。
ですが、そこからは論調が一変。このままでは危ない現実を変えるための『生物学的革命』(p.39)としてのマクロビオティックが説かれていきます。
「宇宙の秩序」から陰陽の考え方、食物の陰陽、マクロビオティック基本食の細かな内容が、簡潔に、しかし不足なく書かれています。
特に、栄養学から見たマクロビオティックの記述が詳細です。カロリー、たんぱく質、炭水化物、脂肪、ビタミンについて、章立てされて科学的数値も交えながら説明されています。
主要なビタミンごとにそれ含む植物性食品も紹介されているので、マクロビオティックを現代栄養学の観点からも考えたい方にうってつけだと思います。
また、『食事の調整』(p.126)という章は、春夏秋冬や性別、生理期間、個人的欲求など、それぞれに応じた食事内容が陰陽バランスから具体的に説明されており、大変参考になりました。(『秋には、(略)寒さが増していくにしたがい、炒め物、穀物シチュー、糯米や餅、豆シチュー、濃いスープなど、こってりとした濃厚な味の料理を、より多く食卓にのせるようにする。』(p.129)
最後の章では、家族、男と女、共同体、教育、犯罪と暴力、運動とスポーツ、エコロジーと自然環境……など、様々な分野がマクロビオティックの視点で読み解かれており、エッセイ風な読み応えがありました。実用的であることに重きがおかれていることの多い久司氏の本にしては珍しい箇所なのではないかと思います。個人的には本書の中で最も興味深く読みました。
マクロビオティックの基礎を修得し、実践もある程度積まれた方が、より適切なマクロビオティックを行うため、または補足知識を得るために読むと良い本だと思います。