典座和尚の精進料理-家庭で楽しむ110レシピ
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「典座和尚の精進料理家庭で楽しむ110レシピ」を読んだ感想
永平寺で禅の修行を積んだ僧侶がお書きになったレシピ本です。著者の高梨氏は2001年から2005年まで大本山永平寺東京別院で副典座および典座(修行僧の食事などをつかさどる役職)を務められたそうです。
禅と言えば、思い出すのは「ゼン・マクロビオティック」。マクロビオティック創始者の桜沢如一氏は禅の精進料理をマクロビオティックの食事法の基礎として取り入れているので、精進料理のレシピ本はマクロビオティック実践者にとってもなじみの深い内容のはずです。
すると、さすが思った通り、紹介されているレシピには肉、魚、卵、乳製品などの動物性食材が使われていません。仏教の「不殺生戒」に基づいているんですね。
ただ、やはりマクロビオティックとは違うので、マクロビオティックでは禁じられていない「ねぎ、にら、玉ねぎ、にんにく、あさつき」などのにおいの強い野菜が禁じられ、使われていません。
逆に、マクロビオティックではあまり良しとされないトマトが割と使われていたりして、同じ菜食ベースでも細かな違いがあることに面白さを感じます。
肝心のレシピについてですが、使っている食材が大根やにんじん、ひじき、ごぼう、れんこん、こんにゃく、厚揚げなど身近で、調味料も醤油、酒、みりん、塩、味噌、砂糖くらいなので、「簡単そう!」とやる気がわきます。
「だいこんと油揚げの炒め煮」、「精進八宝菜」、「精進マーボーなす」、「納豆の養老磯辺揚げ」など、シンプルでいて独創的で美味しそうなレシピが満載です。
厳格なマクロビオティック料理レシピと、何も気を遣わないで好きに作るレシピの、ちょうど真ん中くらいに位置するレシピ集なのではないでしょうか。マクロビオティックにある程度慣れた方でも、マクロビオティックを始めたいな~と思っている方にも、どちらにもおすすめできます。
一品一品、カラーの写真がついていて、見やすいデザインです。説明文も親切でわかりやすく、私のようなあまり料理に精通していない者でもすぐに上手に作れそうです。
「残った素材を利用して」という、だしがら昆布や野菜の皮や根を使ったレシピは、食物の命を大事にする仏教らしい箇所だと思います。ここのレシピを参考にして、私もセリの根の天ぷらを作ってみたのですが、これが美味しかったんですよね!
根っこを天ぷらにしてしまうという斬新な発想を与えてくれた本書には感謝しています。あと、うちに現在、なんだかしょっぱくて食べ切れていない古たくあんと、雑煮のだし汁を作るために使っただしがら昆布を冷凍保存したものがあるのですが、ちょうど「古たくあんと昆布の炊き合わせ」なんてレシピがあったのでそれも作ってみたいです。
(追記:後日、上記レシピを参考に「たくあんと根菜・昆布の煮物(レシピ)」を作りました。たくさんがサクサクになって美味しかったです!)
また、レシピの途中、箸休めのように短いエッセーが入っています。禅の思想をやさしく教えてくれる内容で、とても勉強になります。
たとえば、野菜がすぐに傷んでしまうような時期に、古い野菜をうまく利用できる「カレー」を作ることがあるそうなのですが、カレーには動物性油脂が含まれるため、厳密には戒律に反するのだそうです。でも、そのときに、『傷んだ野菜を無駄にするほうが食を敬い尊ぶという本質に反する』(p.53)と考えるのだそうで、 そういう融通のきかせかたはマクロビオティック実践においても大切だよなと思わされました。
110レシピ、一つ一つが丁寧に作られているのがわかります。ボリューム満点です。本のサイズもコンパクトで持ち運びしやすいし、買って良かったなと思います。「れんこん餅」というのに興味があるので、今度の土日にでも挑戦してみたいです。
一点、ちょっと不思議に思ったのは、『雲水とたくあん』というエッセーです。
『脚気はビタミンB1不足によって発症しますが、精米時にせっかくのビタミンB1がぬかとして削られてしまうことがおもな原因です。』
『現在の修行道場でも、(略)ご飯やお粥をたくさん食べてしまい、(略)ビタミンB1不足を起こして脚気に悩まされる新米雲水が跡を絶ちません。』
『じつは、たくあんこそが脚気を防ぐための妙薬なのです。』
『ビタミンB1は生のだいこんに比べて十倍以上に増加します。』(p.167)
とありました。精米時にぬかが削られるのがビタミンB1不足につながっているとわかっているのなら、玄米を食べれば良いのではないのかと思ってしまったのですが、そうはできない仏教的事情があるのでしょうか。きっと、何かのポリシーがおありになるとは思うのですが。
玄米粥(レシピはこちら)というのもすごく美味しいものなので、ぜひ雲水さんたちにも召し上がっていただきたい気がしますが、玄米は白米に比べて浸水や炊飯に時間がかかるので、そのへんがネックになったりするのかなあ。
禅と言えば、思い出すのは「ゼン・マクロビオティック」。マクロビオティック創始者の桜沢如一氏は禅の精進料理をマクロビオティックの食事法の基礎として取り入れているので、精進料理のレシピ本はマクロビオティック実践者にとってもなじみの深い内容のはずです。
すると、さすが思った通り、紹介されているレシピには肉、魚、卵、乳製品などの動物性食材が使われていません。仏教の「不殺生戒」に基づいているんですね。
ただ、やはりマクロビオティックとは違うので、マクロビオティックでは禁じられていない「ねぎ、にら、玉ねぎ、にんにく、あさつき」などのにおいの強い野菜が禁じられ、使われていません。
逆に、マクロビオティックではあまり良しとされないトマトが割と使われていたりして、同じ菜食ベースでも細かな違いがあることに面白さを感じます。
肝心のレシピについてですが、使っている食材が大根やにんじん、ひじき、ごぼう、れんこん、こんにゃく、厚揚げなど身近で、調味料も醤油、酒、みりん、塩、味噌、砂糖くらいなので、「簡単そう!」とやる気がわきます。
「だいこんと油揚げの炒め煮」、「精進八宝菜」、「精進マーボーなす」、「納豆の養老磯辺揚げ」など、シンプルでいて独創的で美味しそうなレシピが満載です。
厳格なマクロビオティック料理レシピと、何も気を遣わないで好きに作るレシピの、ちょうど真ん中くらいに位置するレシピ集なのではないでしょうか。マクロビオティックにある程度慣れた方でも、マクロビオティックを始めたいな~と思っている方にも、どちらにもおすすめできます。
一品一品、カラーの写真がついていて、見やすいデザインです。説明文も親切でわかりやすく、私のようなあまり料理に精通していない者でもすぐに上手に作れそうです。
「残った素材を利用して」という、だしがら昆布や野菜の皮や根を使ったレシピは、食物の命を大事にする仏教らしい箇所だと思います。ここのレシピを参考にして、私もセリの根の天ぷらを作ってみたのですが、これが美味しかったんですよね!
根っこを天ぷらにしてしまうという斬新な発想を与えてくれた本書には感謝しています。あと、うちに現在、なんだかしょっぱくて食べ切れていない古たくあんと、雑煮のだし汁を作るために使っただしがら昆布を冷凍保存したものがあるのですが、ちょうど「古たくあんと昆布の炊き合わせ」なんてレシピがあったのでそれも作ってみたいです。
(追記:後日、上記レシピを参考に「たくあんと根菜・昆布の煮物(レシピ)」を作りました。たくさんがサクサクになって美味しかったです!)
また、レシピの途中、箸休めのように短いエッセーが入っています。禅の思想をやさしく教えてくれる内容で、とても勉強になります。
たとえば、野菜がすぐに傷んでしまうような時期に、古い野菜をうまく利用できる「カレー」を作ることがあるそうなのですが、カレーには動物性油脂が含まれるため、厳密には戒律に反するのだそうです。でも、そのときに、『傷んだ野菜を無駄にするほうが食を敬い尊ぶという本質に反する』(p.53)と考えるのだそうで、 そういう融通のきかせかたはマクロビオティック実践においても大切だよなと思わされました。
110レシピ、一つ一つが丁寧に作られているのがわかります。ボリューム満点です。本のサイズもコンパクトで持ち運びしやすいし、買って良かったなと思います。「れんこん餅」というのに興味があるので、今度の土日にでも挑戦してみたいです。
一点、ちょっと不思議に思ったのは、『雲水とたくあん』というエッセーです。
『脚気はビタミンB1不足によって発症しますが、精米時にせっかくのビタミンB1がぬかとして削られてしまうことがおもな原因です。』
『現在の修行道場でも、(略)ご飯やお粥をたくさん食べてしまい、(略)ビタミンB1不足を起こして脚気に悩まされる新米雲水が跡を絶ちません。』
『じつは、たくあんこそが脚気を防ぐための妙薬なのです。』
『ビタミンB1は生のだいこんに比べて十倍以上に増加します。』(p.167)
とありました。精米時にぬかが削られるのがビタミンB1不足につながっているとわかっているのなら、玄米を食べれば良いのではないのかと思ってしまったのですが、そうはできない仏教的事情があるのでしょうか。きっと、何かのポリシーがおありになるとは思うのですが。
玄米粥(レシピはこちら)というのもすごく美味しいものなので、ぜひ雲水さんたちにも召し上がっていただきたい気がしますが、玄米は白米に比べて浸水や炊飯に時間がかかるので、そのへんがネックになったりするのかなあ。