フラテッロ・ディ・ミクニ
2013年7月、旭川市から車で一時間半ほどの場所にある「上川町」に「フラテッロ・ディ・ミクニ」という何やらお洒落なレストランができたと話題になりました。
なんでも、北海道出身のフレンチシェフ三國清三(みくにきよみ)氏がオーナーシェフを務めていて、札幌イタリアンのシェフとして有名な堀川秀樹氏もこのレストランのプロデュースに携わっているとのことで、上川町、なんだかすごく頑張ってるなという印象。
ちょっと遠くて行くのは大変だけれど、ぜひ行ってみたい!
ということで、オープンから一年後の2014年7月に気合いを入れて行ってきました!
丘の上に
↑「愛別上川道路」をひた走ります。
↑「パンケフェマナイ橋」という気になる名前の橋を通過。アイヌ語の読みをそのまま橋の名前につけた感じです。
そして……。
↑やっと到着! 広大な丘の上にぽつんとあるこの建物がお目当ての「フラテッロ・ディ・ミクニ」。
レストランの駐車場に車を停めて降りたら、なんだかハエがいっぱいいて、お洒落な気持ちで来ていたのに「えっ。ハ、ハエってどういうこと??」と戸惑ってしまいました。
……「北海道の大自然のど真ん中」という感じの場所なのに、「ミクニ」というネーミングにつられて都会っぽい気分になっていたのがきっと間違いだったんですね。牧場っぽい気持ちでいる方が良さそうです。
それではいざ入店!
待合所
今回、私たちは二名で「平日限定ランチコース」(一人2800円)の予約を13:30に入れていました。着いたのは13:15頃。
(補足:2022年現在、私たちが食べた2800円コースは存在せず、ランチは一人3850円コースか6050円コースのみになるようです。)
お店に入ってすぐ、誰もいないので、オープンキッチンのような場所にいた方に「13:30に予約していた者ですが」と挨拶すると、どうやらそれは料理人さんで、受付のウェイターさんが別に出てきて、「準備ができるまでここでお待ち下さい」とソファーに案内されました。↓
↑……料理人さんにいきなり話しかけちゃったよ……。と、若干気まずい思いをしながら、素敵なソファーで10分ほど待ちました。
そしてやっと席の準備が整ったらしく、席に移動しました。
席に移動
↑窓際の、一番奥の席です。用意されていたおしぼりが温かくてホッとしました。
水は、「大雪山ゆきのみず」。上川町に採水地があるのだそうです。
↑窓からの景色。ちょっと曇っていますが、雄大です。緑が目に優しい。
前菜
↑席に着いてから四分ほどで、最初の一品(前菜)+パンが来ました。
↑こちら、「道産野菜の冷製ミネストローネ」。あっさりしていて食べやすい。
具は、セロリ、にんじん、パプリカ、トマト。白糠酪恵舎(しらぬからっけいしゃ)のモッツァレラチーズがコクをプラスしています。
↑パンは、道産小麦「ハルユタカ」で作られたもの。
↑すごく柔らかくて、もっちりフワフワで美味しいです!
パスタ料理
↑続いてパスタ料理。パンは二つめです。
↑「上川マス・スモークのパスタ」。この上川町で捕れたマスを燻製にしたものが具になっています(パスタに混ざっているピンクの身)。
にんにくの効いた塩気の強いパスタで、パンの良いおかずになります。蕎麦の実のプチプチした食感も楽しい。
ただ、主役のマスがこなごなになりすぎているのが残念だと思いました。もうちょっと「ドボン」としたサイズのマススモークを食べたかったですね。
↑パンは、一個目は「ハルユタカ」使用でしたが、二個目は「上川ライ麦」を使用したもの。
白パンとは違う小麦粉の香りが楽しめました。
メイン料理
↑前菜とパスタが終わった時点でカトラリーが新しくなります。こういう心配りは高級店っぽくて嬉しいですよね!
↑そしてやってきたのがメイン料理「中札内産鶏胸肉のしめじクリームソース 上川産もち米のリゾット仕立て」。
鶏胸肉について
「鶏の胸肉」と聞いた母が眉をひそめました。
「鶏の胸肉なんて、安い部位を使っているんだね。胸肉なんてパサパサで肉臭くて美味しくないのに」
私は、肉の部位の違いによる値段の差に詳しくなかったので、「胸肉は安い」と聞いてちょっとショック(笑)。
ウェイターさんは「こちら、鶏の胸肉ではあるんですが、すごく柔らかくジューシーに蒸してあります」とおっしゃっていて、食べてみると確かにしっとりしていて「パサパサ」ではなく、濃厚なクリームソースと合わせて食べればそれなりに美味しくはあったのですが、基本的に肉臭いのが苦手な母は「やっぱり肉臭い」と半べその不満顔。
値段関係なく「鶏の胸肉」という食材が選ばれただけとは思うのですが、ランチの一番安いコースだから安い食材で良いと思われたのだろうかとか、余計なことを考えてしまって、ちょっとブルーになってしまいました。
母としては、スパイスや香草を使うなどして、もう少し鶏胸肉の臭みをなくすような工夫をしてもらいたかったとのことでした。
パンのおかわり
そんなこんなで、ちょっとメイン料理に関しては複雑な思いを抱いてしまいましたが、ウェイトレスさんがパンのおかわりがいるか聞いてくださって、ありがたく一つ追加でいただきました。一個目と同じハルユタカのパンです。
こちら、オーブンから出したてのようにすごく熱々で、相変わらずもっちりフワフワ、美味しかったです。
デザート
↑料理が終わり、カトラリーがデザート用のものに置き換えられます。
↑やってきたデザート。詳しい内容が説明されるのを楽しみにしていたのですが、運んできてくださったウェイターさんは、「こちら、デザートになります」との一言のみ残して去っていってしまいました。
あれまっ。説明は一言も無し?? 食べて美味しければ良いだろうということかもしれないけれど、せっかくだから色々知りたいわ~。
……すると、ちょうど同じようなタイミングで、隣のテーブルのお客さんたちにもデザートが運ばれてきました。私たちと同じデザートのようです。
そちらのテーブルについたウェイトレスさんは、その内容について詳しく説明を始めました。私はそれに必死に耳をそばだてました。
デザートの詳細
↑ふむふむ。ピスタチオのジェラートに、ラベンダーエキス入りチョコムース。奥の赤い粉はビーツで、手前のソースはフランボワーズ。
……って、隣のテーブルでの説明で自分のデザート内容を知るってのも情けないもんだが(泣)。
まあ、結果的にわかったから良かったけれど。
ジェラート、チョコムースともに美味しかったです。フランボワーズソースの酸味が、デザート全体の甘さを引き締めるアクセントになっていました。
チョコムースには、ミントのような爽やかな香りがあって新鮮だったのですが、あれがラベンダーエキス効果なのかな?
コーヒー
↑こちら、デザートとほぼ同時に来たコーヒー。深煎りで苦みが強く、私の好みでした。
道産食材がふんだんに使われている。この点に関してはとても評価できると思います。食材によって北海道を満喫できると思います。
ただ、食材は良いのですが、期待値が高すぎたせいか、料理がちょっと「普通」だなという印象がぬぐえませんでした。
近所の洋食屋で食べられそうな感じといいますか。見た目、味ともに、とても一般的な、オーソドックスな料理という感じ。
もっと『「フラテッロ・ディ・ミクニ」の料理はこれだ!』というオリジナリティー、独創性が感じられたら良かったと思います。
熱い料理の皿は熱く、冷たい料理の皿は冷たく、パンは熱々で、カトラリーも取り替えてくれる。こういう、基本的な部分がきちっとしていたのは良かったです。