ビブレ
2014年4月に鳴り物入りでオープンしたレストラン「ビブレ」。
なんでも、札幌で評判の高かった「プレ・ヴェール」というレストランで23年間シェフを務めた鈴木俊之さんがビブレのオーナーシェフとして腕をふるわれるとのこと。
これはぜひ行ってみなければ! と、開店のニュースを聞いたときから楽しみにしていました。
美瑛の雄大な景色を眺めながら
↑美瑛の丘を見渡せる裏道を走り抜け……。
↑名所「セブンスターの木」の横を通過。ビブレにたどり着くまでに眼前に繰り広げられる景色は本当に美瑛らしく、北海道に住んでいる私でもこんな風景は滅多に見られないと思うほど、広々と雄大で素晴らしいものです。
そうして、ビブレに到着!
ビブレに向かって
↑2006年に廃校となった旧・北瑛小学校の敷地内にビブレは建てられています。
↑駐車場に車を停め、石畳の上を歩いていきます……が、この石畳、一枚一枚の間に2㎝ほどの隙間があり、気をつけないとそこにパンプスのヒールがズボッとはまります。そのせいで二回ほどよろめきました(笑)。
入店
↑それでは入店! このガラスのドアは自動ドアではなく手動の引き戸なので注意。
↑ホールはこんな感じ。正面にはパン売り場、向かって左手がレストランに通じています。
窓からの景色が綺麗
↑14:00に予約をしてあって、それを伝えると、店内ほぼ中央の窓際の席に案内されました。お客さんは私たちを含め四組ほど。少し遅い時間帯のせいでしょうか。かなり空いています。窓からの景色が綺麗です。
おしぼり&カトラリー
↑おしぼりとカトラリーが運ばれてきました。丸く茶色いものはランチョンマットで、厚手のフエルトでできています。
↑ランチョンマットの上に大皿がセットされました。
2600円コース注文
↑メニュー表を手渡されます。オープンから使い続けているのでしょうか? 紙がけっこうヨレヨレなのがちょっと気になりながらも……私たちは一番お得な2600円のコースを注文(グループ内で、注文するコースは統一してくれとの要望あり)。
しかしビブレって、この料理料金にサービス料10%が加算されるんですよね。つまり、2600円と書かれているけれど、ここに260円を足して一人当たり2860円の支払いが必要になります。
ランチでサービス料を取る店って、この界隈ではかなり珍しいと思います。それだけサービスに自信があるということかな?
良いサービスを受けられるならサービス料を払うのもやぶさかではない。さあ、そのビブレの自慢のサービスをとくと見せてくれ!!
2022年現在、ランチは、安い順から税込み3200円、4200円、6400円になっています(それぞれ、サービス料金10%がさらに加算されます)。
メニュー表が破けている
↑と思っているそばからもう一つ手渡された飲み物のメニュー表。これ、折り目の下から5㎝ほど思い切り破れているのですが……。このまま放置するとビビビッと破けて真っ二つだよ? これ。
サービス料を取るような高級店なのであれば、このへん、もうちょっとしっかりしていただきたいところです……。メニュー表、もっと丈夫な素材にした方が良いんじゃないかなあ。
水は美瑛の天然水
↑水が注がれました。ビンの下に布ナプキンをあてがって注ぐ方式で、ほうほう、そのやり方は高級レストランっぽいよね。
水の詳細を聞くと、「美郷不動尊の水」とのことで、なるほど、バローレ(美瑛のイタリアン)と同じ水ですね。臭みのない美味しい水です。
ライ麦パン
↑次に来たのが「ライ麦パン」。麻布の中にゴロンとパンが納められていて、底には温めた小豆の袋が保温用に入っています。
このパン、上は八等分に切れているのですが、底までナイフが通っておらず、かなり固い皮を「ギギギ……」と引きちぎるように分けなければいけません。
パンをむんずとつかんで大奮闘しなければいけないので、優雅さとはほど遠い食事風景になります(笑)。でもこのパン、噛んでいるうちに粉の甘みが出てきてとっても美味しかった! ただ、歯の弱い母には皮が固すぎたようです。
前菜~自分で取り分ける
↑さて! いよいよ本格的な前菜「丘のプラトー」。プラトーとは、goo辞書によると、「高原。また、台地。」という意味で、「丘の台地」とはまさに美瑛の風景を表した料理ということなのかもしれません
「ニシンのスモーク」「ポークとレバーのパテ」「サラダ」は二人分ずつありますが、「ラタトゥイユ」と「ピクルス」は一皿から取り分けて食べる形になります。
↑一人分を皿に取り分けたところ。……料理人に盛ってもらったわけではないので「これ、ちょっと、見た目どうなんだろう」と思うできばえになってしまいましたが、自分で取り分けるというのはビュッフェのような面白さがあるかもしれませんね。
野菜の味が良い
料理はそれぞれ、とても美味しかったです。野菜の味が良いんですよね。特にラタトゥイユは、ジューシーで、今でも思い出せるくらい印象的でした。
サラダにはフレンチドレッシングがかかっており、フォークとナイフで切り分けてスマートに食べることができます。このレタスが新鮮でとてもみずみずしい。わっさわっさとたっぷり食べられて大満足!
ニシンは骨まで柔らかい
ニシンのスモークは、ちょっと切ってみると中が小骨だらけだったので一瞬どうしようと思いましたが、とても細く柔らかい骨だったので食べてみるとまったく気になりませんでした。
塩味がちょっと強いのが、前菜全体の中でアクセントになっていてまた良し。燻製の風味がとても良かったです。
魚のスモークが出てきたのは、旭川「ドゥプラ」の「サンマのスモーク」に引き続き二軒目。長らく、スモークされた魚といえば「鮭」しか知らなかったのですが、サンマやニシンのスモークというのも美味しいものです。
ズッキーニのフライ
↑突然、ウェイターさんがやってきて、食べている最中のあんまり綺麗とは言えない皿にコロンと置いていったのがこの「海老詰めのズッキーニのフライ」。揚げたてあっつあつで湯気が立っていました。
「海老のすり身」と「鶏のすり身」がズッキーニの輪切りに挟まれて揚げられたもので、サクサクと香り良く、ズッキーニもトロッとしていて、小さいながらも充実した一品。
なんだかこんな味のものが昔給食で出たような……という、どこか懐かしさも感じる味でした。
レバーが苦手と事前に言えば良かった
↑序盤の料理群の中で、唯一食べられなかったのがこちらの「ポークとレバーのパテ」。レバーが苦手なもので……。でも、一切手をつけないというのももったいないのでほんの1㎝角ほどを味見してみたのですがやっぱり臭いがダメでした。
ほぼ手つかずのまま皿を下げていただくことになってしまったのですが、その際、ウェイトレスさんに「お口に合いませんでしたか?」と聞かれてしまいました。
「レバーが苦手で、すみません」と言うと、「予約時、苦手な食材を申し出てもらえれば、取り除くなどの対応をします」とのこと。
……そうだったんだ~。コース料理として内容がビシッと決められていて、変更などの融通はきかないと思い込んでいました。それだったら、予約時にレバーが苦手と伝えておけば良かった……。
次回来ることがあれば、予約時に苦手食材としてレバーを申告しておきたいと思います。
かぼちゃのスープ
↑続いて、箸休めのようにやってきたのが「美瑛かぼちゃの冷製スープ」。スープが中盤というのは珍しいですよね。
こちら、優しいかぼちゃの風味がクリーミーなスープに溶けています。とっても良い塩加減で、ひんやり美味しく飲み干しました。
野菜のココット、チキン
↑スープを飲み終えた頃、テーブル中央に新しくフエルトマットが敷かれ、そこにルクルーゼの小鍋が登場。ウェイターさんがフタを開けるとフワッと立ち上る湯気! 「とれたて美瑛野菜のココット」です。
↑間をおかず、「チキンのピラフ詰め」が運ばれてきます。ピラフの米は北海道産の「ななつぼし」を使っていると説明がありました。
チキンの銘柄は?
ではこのチキンはどんな銘柄のものなんだろう? 北海道産の地鶏かな? なんて期待して聞いてみると「国産のブロイラーです」という答え(笑)。
知床鶏あたりだったらいいなと思って聞いたのに、国産のブロイラーって(笑)。でもせめて国産で良かったです。
フレンドリーな接客
そして、チキンの上に載っている鮮やかな紫色の野菜が気になったので、やや年配の男性ウェイターさんを呼び止め尋ねてみました。
すると、「これ、キャベツ」というフレンドリーな口調の回答(笑)。できれば丁寧語くらいは使ってほしかった……(笑)。
ピラフにはブイヨンの味がしっかり
↑こちら、中のピラフにしっかりとブイヨンの味がしみていて、シンプルながらも滋味深い。付け合わせのじゃがいももねっとりほっくりで、さすが北海道! 芋が旨い! という感じ。
野菜、美味しい!
↑「とれたて美瑛野菜のココット」を、チキンの皿の端に取り分けます。ブロッコリーや黄色ズッキーニ、ミニにんじん、ミニ大根などが、旨味のある塩味で蒸し煮されています。
まさに、美瑛の大地、丸ごといただきます!という感じで、野菜からエネルギーを感じました。シャキシャキ・ウマウマです。
私はこういう「蒸し野菜」系で、野菜の味しかしないようなシンプルすぎるものは得意ではないのですが、ビブレのココットは、「野菜の味を生かしながらもちゃんと食べやすい味がついている」もので、とても気に入りました!
高級感あるデザート
↑ラストはデザート「チョコレートケーキの牛乳アイスのせ」。ケーキには美瑛産の黒大豆とハスカップが入っています。牛乳アイスもお店の手作り。(写真を撮る前にうっかりケーキをスプーンで突いてしまったため崩れていますが本当はピシッとした形でした。)
このデザート、コーヒーなどの飲み物はついていません。
デザートが運ばれてくる直前にウェイトレスさんが飲み物メニューを持ってきて、「ご一緒にお飲み物はいかがですか?」と聞いてくれましたが、今までコース料理を食べて、デザートとともに出てくる飲み物で別料金を取られた経験がなかったことと、「コーヒー一杯350円、二人分で700円」という値段を高く感じて、ちょっとでも節約したいという思いが湧いたことから、飲み物は頼まずにケーキを食べることにしました。
コーヒーを頼めば良かったかな
ケーキに載せられたアイスが溶けてちょうどさっぱりとした飲み物のようになり、コーヒーなどがなくても喉の渇きを覚えることなくケーキを食べることができたのですが、やっぱり、できれば一緒にコーヒーを飲みたかったかなという気がします。その方が気分的にホッとできるといいますか。
次回はコーヒーも頼もうかなあ。
ちなみにこのケーキ、ハスカップがたっぷり入っていて、ささやかな一切れながらとても高級感ある味わいでしたよ! 母は、「今まで外食で食べたデザートの中で一番美味しい」と感動していました。
そしてお会計。二人で5720円でした。これがもしコーヒーを頼んでいたら6490円になった計算ですから、やっぱりコーヒーを頼まない方がかなり財布には優しいですね。雰囲気を取るか財布を取るか!! あ~悩ましいところだ。
パンを購入
↑店を出る前に、せっかくなのでパンを買っていくことにしました。ざっと見て、美味しそうに思えた「コーンパン」を買おうとしたのですが、てっきり美瑛産小麦で作られたと思い込んでいたのに、聞いてみたら「コーンパンは100%外国産小麦」というではありませんか!! なんだそれは~!
どうやらパンによって、「美瑛産小麦と外国産小麦ミックス」だったり「100%外国産小麦」だったり「100%道産小麦」だったり色々あるようなのです。
100%国産小麦のじゃがいもパンが美味い
↑そこで、「美瑛産小麦85%、道産全粒粉15%」というこの「じゃがいもパン」(300円)を購入することに計画変更。
↑家に帰って食べてみたら、これが大ヒット! パン生地がプルプルなんです。今まで食べたことのないような感じ。じゃがいもはうっすら塩味で、皮付きだからどこか香ばしく、食感も最高。いやー! こんな美味しいパン、食べたことないわーー! と思いました。
この「じゃがいもパン」を買うためだけにまたビブレに行きたい!!
家に帰ってきて思い返していくうちに、だんだんと感動が増していく。そんな店です。
まず、コースに出てくるパンが美味しいです。派手さはない素朴なパンで、バターもオリーブオイルも出てこずそのまま食べることになりますが、噛んでいるうちに粉の甘みが出てきて、しみじみと美味しく感じました。(皮が固いので、母のように歯が強くない方には食べにくいかもしれませんが……。)
お土産に買った「じゃがいもパン」も、今までのパンという概念を覆す食感で、人生で初めて、本当の意味で「ここのパンをもう一度食べたい」と思いました。
あと、塩加減が絶妙。味付けがとても上手でした。人の舌が「美味しい」と感じる塩加減の、ちょうどど真ん中を突いてくるといいますか、素材の味を生かしながらも、薄味にはならず、美味しいんですよね。料理のセンスがあるってこういうことを言うんじゃないかと思いました。
野菜も新鮮ジューシーで、とても美味しく調理されていました。
料理内容や皿の出し方にも緩急があって飽きず、最後まで楽しめました。
確かに、気になる点もいくつかあったのですが、総合的に見るとかなり良かった。時季を変えてまた行きたい店です。